研究課題/領域番号 |
19K20044
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
玉城 将 名桜大学, 健康科学部, 上級准教授 (80599233)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 卓球 / サービス / 回転 / 3次元計測 / コンピュータビジョン / 機械学習 / ボール / パフォーマンス分析 / 機会学習 / カメラキャリブレーション |
研究開始時の研究の概要 |
卓球の特徴を理解する上でボールの回転は重要な情報であるが,これまでに得られている情報は限られている.申請者はこれまでに,従来手法の問題を解決するボールの回転計測アルゴリズムを開発している.本研究では,まず,このアルゴリズムを応用した回転計測システムの開発によって従来難しかった競技会会場における打球の回転計測を実現する.そして多数の競技会における試合を対象に回転戦術を分析し,「卓球において,どのようなボールの回転が返球ミスを誘っているか」,さらには「極めて短時間でボールを打ち合う卓球において,人間はどの程度正確に回転戦術に対応できるか」を定量的に解明する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は卓球におけるボールの回転と返球ミスとの関連を解明することである。今年度の主な課題は研究用に開発されたシステムの精度評価実験と試合会場で行われたリアルタイム計測の結果を分析し、本システムの実用性を検討することであった。精度評価実験では、卓球経験者による打ち出されたサービス58試技を対象に開発されたシステムで回転計測を行った。その結果、高速度カメラによって計測された値との差の中央値は回転速度では4.89 rad/s(0.78 rps)、回転軸では0.22 rad(12.5度)であった。また、Tリーグの試合会場においてリアルタイムで回転計測をした結果、1ラリーのサービスの回転、各打球の球速を計測する時間の中央値は7.2秒であり、これはラリー時間の約1.2倍に相当する時間であった。この結果に基づいて、本システムの実用性について検討した結果は、IACSS & ISPAS Joint Congress 2022にて発表した。また、今年度は、Tリーグの試合会場で計測された結果から、卓球トップアスリートが打ち出すボールの回転についても分析を行なった。その結果、出現頻度の高い回転速度は、男子選手の試合では50-55 rps、40-45 rps、45-50 rps、35-40 rpsであり、女子選手の試合では35-40 rps、30-35 rps、40-45 rps、50-55 rpsであった(いずれも、出現頻度の高い順)。また、出現頻度の高い回転方向は、男子選手の試合と女子選手の試合で共通しており、横回転、横下回転、下回転、横上回転であった(出現頻度の高い順)。この結果は、日本体育・スポーツ・健康学会 第72回大会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでに得られている試合映像をもとに、「卓球において、どのようなボールの回転が返球ミスを誘っているか」について分析を進める予定であったが、計測結果の精度評価に想定以上の時間を要したこと等から、進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、これまでに得られている試合映像をもとに分析を進め、「卓球において、どのようなボールの回転が返球ミスを誘っているか」について明らかにすることを目指す。本分析における1つ目の課題は、「回転判別の誤りの度合い」の評価である。まず、本研究ではボールの回転だけではなく軌道も同時に計測している。この軌道の情報に基づき、回転判別の誤りの度合い、すなわち、打者が意図しない方向にボールを打ち出した度合いを評価する。本分析における2つ目の課題は、「回転判別を誤り易い条件」の特定である。(i)回転軸、(ii)回転速度、(iii)前打球からの回転軸の変化、(iv)前打球からの回転角速度の変化、(v)ボール速度、(vi)打球間隔のうち、回転判別の誤りの度合いに影響を与える要素を分析する。
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