研究課題/領域番号 |
19K20112
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 新潟大学 (2022) 広島女学院大学 (2020-2021) 名古屋大学 (2019) |
研究代表者 |
砂野 唯 新潟大学, 人文社会科学系, 助教 (20748131)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 酒 / 栄養 / 健康 / 食文化 / 環境 / 発酵 / 食嗜好 / 嗜好 / 救荒食 / グローバル化 / 発酵食品 / エチオピア / ネパール / 清酒 / 醸造 / 地域研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、酒を主食とする食習慣を持つ人々を対象とし、彼らが酒を食事にすることを可能にしている要因を解明する。また、栄養源となる食物の種類や量が限られる地域において、食事となる酒と酒を食事とする食習慣の普及を通じて栄養状態改善を図る方法を考案することを試みる。 そのために、ネパールとエチオピアのそれぞれで暮らす酒を主食とする習慣を持つ民族とその周辺の酒を嗜好品として消費する民族の酒の成分、消費方法、身体機能、健康状態、地域の環境・社会・歴史を比較し、前者が酒を食としつつ健康を保っている要因を解明する。調査は、現地での聞き取りや参与観察、簡易分析と、研究施設での分析からなる。
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研究成果の概要 |
研究の結果、酒が栄養源とされるのは、食材の種類が少ない、あるいは肉体労働が多い地域であることが明らかになった。また、酒は農繁期や端境期の栄養補給源ともされる。エチオピアの酒を食事とする人々は、生まれながらにアルコール分解能力が高く、酒を好む嗜好や安全な飲酒方法は食育によって形成される。一方、ネパールの酒を食事とする人々は、醸造酒は食事として腹を満たすために飲み、蒸留酒は嗜好品として酔いを楽しむために飲む。また、日本の山間部では、年間を通して安定した栄養獲得が可能になったことで、濁酒から栄養獲得する習慣は消え、嗜好品として清酒を飲む習慣のみが残った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
同じ穀物でも、酒にすることでアミノ酸スコアは高まる。穀物を酒に醸造して消費することで、本来はタンパク質が不足する地域でも人々の栄養状態を改善できる可能性がある。また、酒に含まれるアルコールを危険視する風潮が高まりつつあるが、酒を食事とする人々は飲酒によって健康を増進している。酒を栄養源とする人々について多面的な視点から明らかにした本研究の結果は、栄養不良の改善やアルコール問題の解決に関する新しい知見を示している。
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