研究課題/領域番号 |
19K20161
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
井上 菜穂子 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00509515)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 骨格筋 / 脂質 / タンパク質 / イメージング / 遅筋 / 筋線維 / 細胞膜リン脂質 |
研究開始時の研究の概要 |
骨格筋は運動をつかさどる動的な器官である。そして運動が生活習慣病治療の第一選択とされるものの、加齢に伴う筋の萎縮により、運動が困難な人も多い。では運動以外の方法で、骨格筋を維持していく方法はないだろうか?我々は、「運動非依存的に骨格筋を肥大させるメカニズム」を明らかにするため、カエル幼生を用いた研究を行うこととした。カエル幼生は捕食者に晒されるとそのストレスによって尾部の骨格筋を肥大させる。このユニークなモデルにおける骨格筋肥大化メカニズムを明らかにしたい。将来的にはミオパチーやサルコペニアなどの骨格筋病態の解明・予防法の確立に発展させ、運動を模倣する治療選択の提案につなげたいと考えている。
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研究成果の概要 |
エル幼生の尾部骨格筋を対象としたプロテオームを行い構成するタンパク質を明らかにすることができた。その結果、4000程度のタンパク質の発現を確認し、尾部骨格筋は速筋線維で構成されていることを明らかにした。一方、捕食者ストレス誘導型の骨格筋肥大時におけるタンパク質及び脂質の発現変化を解析したところ、中性脂質の蓄積やミトコンドリアタンパク質の増加が観察され、肥大に伴い骨格筋が「遅筋化」していることを示唆した。哺乳類の場合、遅筋は萎縮しにくい筋と言われ、サルコペニアの予防には遅筋を増強させることが重要であるといわれている。今後はこの遅筋化がどのようにして起こるのか、上流の制御因子の解析を進めていく。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的な進展として、本研究で用いた運動非依存的な捕食者ストレス誘導型骨格筋肥大は、運動による肥大システムとは異なるシステムを用いて肥大していることが明らかとなった。具体的に、運動による筋肥大では主に速筋線維が肥大することがわかっているが、今回の肥大モデルでは肥大に伴い遅筋線維が増加している様子をタンパク質及び脂質代謝物から明らかにすることができた。遅筋は筋萎縮が起こりにくく、サルコペニア予防のためには遅筋を増やすことが効果的であるといわれている。今後、如何にして筋肥大と同時に遅筋へのシフトが起こるのか、その作用因子を同定することができれば、我々の生活への応用も期待される結果が得られると考える。
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