研究課題
若手研究
敗血症関連の免疫抑制が原因の二次感染に対するリスク感受性の増加により集中治療後の死亡率増加が懸念されている。この免疫抑制は免疫麻痺状態であり、敗血症後期にみられる病態である。二次感染に対するリスク感受性の増加を減少するためには、正常に活性化された免疫系の誘導と維持が重要である。申請者は、免疫系活性化誘導への関与が期待できる腸管粘膜DCと、その機能に影響する可能性がある腸管細菌叢の組成に干渉するアプローチの一つであるプロバイオティクスに着目し、DC活性化に関与する遺伝子群を包括的に制御するマイクロRNA miR-221/222の発現上昇を抑制し、免疫麻痺誘導を解除するという仮説を検証する。
敗血症では一次感染初期の免疫系細胞の過剰な活動亢進による臓器傷害や、感染後期での免疫系が強く抑制された免疫麻痺により引き起こされる二次感染などが懸念されている。我々は敗血症時の免疫応答を調べ、プロバイオティクスの敗血症一次感染に対する効果および敗血症二次感染の原因となる免疫麻痺を解除する効果について検証した。敗血症モデルマウスにおける腸管粘膜(MLN)および脾臓(SP)における樹状細胞(DC)は、部位別に機能的に異なることが見出された。また、敗血症発症源となり得るサルモネラ菌の増殖抑制効果も認められたことから、プロバイティクスが敗血症やその後の二次感染に対して効果的に寄与する可能性がある。
敗血症の発症数は世界的に増えつつあるが、その特異的な治療法は未だなく、効果的な治療法が切望されている。敗血症に罹患すると進行が早く、重症化や二次感染への罹患も待ち受けており長期予後の悪化や入院生活の延長を余儀なくされる可能性が非常に高いため、早期の効果的対応が必要と考える。本研究では、敗血症性免疫麻痺に関連するDC活性の分子基盤を示し、また、プロバイオティクスが敗血症発症源の1つである腸管感染症の予防もしくは治療に効果的に寄与する可能性があることを示した。
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