研究課題/領域番号 |
19K20270
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60070:情報セキュリティ関連
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研究機関 | 名城大学 (2022) 島根大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
伯田 恵輔 名城大学, 理工学部, 准教授 (90587099)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アフィン代数幾何学 / 多変数多項式暗号 / 耐量子計算機暗号 / 有限体 / 置換 / 公開鍵暗号 / 多項式同型写像 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の公開鍵暗号は、量子計算機によって多項式時間で解読可能であることが知られている。そのため、量子計算機に耐性を持つ暗号技術(耐量子計算機暗号)は、国内外を問わず学術界・産業界において実用化に向けた研究開発が活発に行われている。耐量子計算機暗号の一つとして多変数多項式暗号があり、格子暗号など他の方式と比べて処理性能が高速であることが特徴である。ところが多変数多項式暗号は、安全性評価が不十分な状況にある。本研究では、研究代表者が提案したTame分解アルゴリズムとよばれる多変数多項式暗号に対する汎用的な鍵復元攻撃手法において、メモリ使用量が膨大になるという欠点を解消するための数学理論の構築を行う。
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研究実績の概要 |
耐量子計算機暗号の有力候補のひとつである多変数多項式暗号では、その構成要素として多項式同型写像を用いる。より正確には、公開鍵暗号やデジタル署名の仕組みを実現するために、効率的に逆写像を計算できるアフィン自己同型や基本自己同型を繰り返し用いる。そのため、これらの多項式同型写像の数学的性質を解明することは多変数多項式暗号の安全性評価を確立するための重要な課題であり、特に、汎用的な鍵復元攻撃に対する安全性評価を確立するための必須の研究である。本研究課題では、研究代表者が提案したTame分解アルゴリズムとよばれる多変数多項式暗号に対する汎用的な鍵復元攻撃手法において、メモリ使用量が膨大になるという欠点を解消するための数学理論を構築する。 この数学理論の構築のために、2019年度は標数2の有限体に対し、Derksenの定理が成立しないことを証明した。2020年度は標数2の有限体に対し、Jacobian determinantが単元となる多項式同型写像で構成される群の最小な正規部分群の構造を研究し、上記の最小な正規部分群がtranslation groupによって生成されるか否かを明らかにした。2021年度は2019~2020年度に得られた研究成果をもとに、ある種のlinearized polynomial automorphismを用いて共通鍵準同型暗号が構成できることを明らかにした。2022年度は標数2の素体に対し、弱Derksenの定理の別証明を完成させた。弱Derksenの定理の原著論文における証明は非常にテクニカルで複雑であったのに対し、この別証明ではよく知られているpermutation polynomialに関する既知の結果を用いることで証明が著しく簡易化されている。本結果については論文を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りの研究成果が得られているため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2019~2022年度に得られた研究結果をもとに、標数2の有限体上の多項式同型写像とその線形空間上の置換の関係について引き続き研究を行う。特に、標数2の有限体上の多項式写像に伴う行列のランクと弱Derksen群との関係を研究する予定である。
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