研究課題/領域番号 |
19K20322
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 成蹊大学 (2020-2023) 大阪大学 (2019) |
研究代表者 |
伝保 昭彦 (北村 昭彦) 成蹊大学, 理工学部, 助教 (70807817)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 変化の見落とし / 拡張現実 / 両眼・単眼提示 / 視覚的注意 / 両眼提示・単眼提示 / 事象関連電位 / フランカー課題 / オドボール課題 / 両眼視野闘争 |
研究開始時の研究の概要 |
近年広まりつつある拡張現実(Augmented reality: AR)には、情報が見やすくなるという利点がある反面,現実世界の物体が見えづらくなるという欠点も指摘されている。ARが提示されることで、同時に現実世界で起こる出来事を見逃す「変化の見落とし」という現象が発生することが知られている。このようなことが実際に発生すれば、交通事故など、重大な事態を招く可能性がある。 そこで、本研究ではAR使用時の変化の見落としにどのような要因が影響を与えるのかを検討する。また、それにより、変化の見落としが起こらないような情報提示方法を提案することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、拡張現実(Augmented reality: AR)を使用している際に人間がどのように視覚的情報を処理しているのかを明らかにし、ARとして提示される像(AR像)が現実世界の観察を妨害するという問題を解決することを目的として、AR使用時の変化の見落としに関する実験を行った。変化の見落としとは、画像の一部で変化が発生する際に、同時に妨害となる刺激が提示されると、その変化を見落としやすくなるという現象のことである。ARでは視野内に情報が提示されるため、AR像自体が妨害となり、変化の見落としを誘発する可能性がある。そこで、本研究ではAR使用の安全性を高めるために、現実世界の観察を妨害しにくいようなARの提示方法について検討した。 本年においては昨年度までに整備した実験プログラムおよび実験環境を用いて、予備実験および二つの本実験を行った。また、昨年度に行った実験について、データの数を増やす実験を行った。予備実験においては本実験で使用する刺激を選別するために、その刺激が提示されたときの実験参加者の反応データを取得した。このデータを使用し、本実験の各条件において実験参加者に提示される刺激に偏りが出ないように実験刺激の振り分けを行った。 前年度に行った実験の続きを含めて、本年ではAR像が突然動き出す条件、AR像の種類によって提示頻度が異なる条件、AR像の輝度の変化の速さが異なる条件の三つの状況においてAR使用時の変化の見落としがどのように発生するのかを検討した。これらの実験の結果、現実世界において変化が発生する瞬間にAR像が急激に動いたり、輝度の変化が起こったりするとその変化を見落としやすくなる可能性が示唆された。 これらの結果から、AR像を提示する際には急激な輝度変化を避け、不要な動きを与えないことにより、現実世界の観察を妨害しにくくなる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では人間を対象に実験室において課題を行うため、新型コロナウイルスの流行により、これまでデータを取得することができていなかった。本年においては、当初予定していた分よりも多くの条件におけるデータを取得することができたため、今後これらの成果について発表を行う予定である。しかし、課題全般としては当初予定よりはやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究により、概ね必要なデータを取得することができたため、これらについて論文誌への投稿および学会での発表を行う予定である。本科研費としての研究はこれらの発表をもって終了する予定だが、同内容の研究については実験条件を追加し、別途継続する予定である。
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