研究課題
若手研究
遺伝子変異とそれが起きるシグナル伝達系などの代謝パスウェイの発現変化の解明により、がん発症の決定的なメカニズムの理解に繋がる。異常代謝パスウェイの原因としての遺伝子変異を理解できれば、クリニカルシーケンスによる遺伝子変異診断から、実際に細胞中で何が起きているかを理解することが可能になる。本研究はがん細胞のクリニカルシーケンスの結果に基いて、がん細胞内で実際に起きている代謝パスウェイの異常がどの変異が原因で起きているかを明確化し、 がん代謝パスウェイネットワークの構築に基づいたドライバー遺伝子同定の研究を実施する。がん患者の変異パターンに基づいて最適な治療を選択することが可能になる。
がん細胞内の代謝パスウェイの発現変化は遺伝子変異に依る発がんの結果と言え、がん細胞のクリニカルシーケンスの結果に基いて、がん細胞内で実際に起きている代謝パスウェイの異常がどの変異が原因で起きているかを明確化し、がん代謝パスウェイネットワークの構築に基づいたドライバー遺伝子同定の研究を実施した。変異の特徴の層別化、代謝ネットワークの破綻経路の明確化、ドライバー変異モジュールの同定、及び発がんメカニズムと治療ターゲットの考察を順次解析してきた。また、胃がん症例が重複する2つの異なるサブタイプの類似点と相違点について、がん変異とパスウェイとの関連性を探索する研究との関連で明確化し研究論文を発表した。
本研究では、特定の変異を持つこととそれが原因で生じる代謝パウスェイの異常を繋げることで、がんの発生メカニズムやがん細胞内の相互制御メカニズムを明らかにすることを目指す。実際にクリニカルシーケンスを臨床現場で利用することを想定した場合、このような各種変異によって何が起きているかを明確化しておくことは、治療方針を決定する段階において非常に意義がある。将来的には、より精確な治療と薬剤感受性の予測を通し、患者に対する無用な投薬や副作用を減らす効果が期待できる。また、不適切な投薬による医療費の無駄遣いを削減することも期待されることから、個別化医療を実現するための必須の非常に独創的な研究と言える。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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