研究課題/領域番号 |
19K20438
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 紗也子 名古屋大学, 環境学研究科, 研究員 (00612706)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 大気エアロゾル / 黒色炭素 / 都市大気 / 化石燃料 / 電子顕微鏡 / 大気エアロゾル粒子 / 自動車排出 / スス / PM2.5 |
研究開始時の研究の概要 |
排出源におけるススの表面状態の違いは、個々のスス粒子の吸湿性獲得時間や寿命、遠隔地への運ばれ易さにばらつきを生じさせる可能性がある。本研究では、ススのような非吸湿性粒子が雲凝結核となる臨界過飽和度が粒子サイズと接触角に依存することを利用し、雲凝結核個数測定器と電気移動度別粒子サイズ分級器を用いた測定から、都市大気中の非吸湿性粒子の接触角を評価する。同時に採取したエアロゾル粒子について、透過型電子顕微鏡により、スス粒子を計数し、その粒子表面の状態を観察することで、排出源でのスス粒子の表面状態のばらつきとその要因を明らかにする。
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研究成果の概要 |
化石燃料の燃焼から多く排出されるススは強い光吸収性を有するため、地球温暖化に正の影響を及ぼすと言われている。スス粒子の大気中での寿命に関係する粒子表面の濡れ性について、東京観測を実施した。非吸湿性粒子の臨界過飽和度が粒子の表面状態に対して異なることを利用し、雲凝結核計数器を使用した表面状態別粒子の個数測定法を考案した。ラッシュアワー時、疎水性粒子も存在するが、殆どの非吸湿性粒子が微量な水溶性物質を有していることが示唆された。採取したスス粒子を透過型電子顕微鏡で観察した。元素分析と水透析法から、燃料に含まれるNaやKが起因と考えられる水溶性の微量付着物がスス表面に存在することが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年のグローバルモデルでは、遠隔地のスス濃度や上空のスス濃度は実測値と大きな差があるのが現状である。本研究では、スス粒子の濡れ性に燃料に含まれる物質を起因とした付着物の有無により排出時からばらつきが生じ得ること、さらに、このような付着物がスス表面上での二次生成物質の成長をサポートしている可能性を示唆した。本研究での結果は、ススは排出時から、大気中で変質し易く大気から除かれやすい表面性質、および変質し難く長寿命になり易いものが存在することを示した。本研究で得られた知見は、ススの吸湿性獲得と除去に関する理解を深めるものであり、気候モデルを高度化する上で役立つことが期待される。
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