研究課題/領域番号 |
19K20456
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 基礎生物学研究所 (2020-2021) 国立研究開発法人国立がん研究センター (2019) |
研究代表者 |
倉島 公憲 基礎生物学研究所, 幹細胞生物学研究室, 特任助教 (90724956)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | DNA複製ストレス / ATR / SMARCA4 / バイオマーカー / DNA fiber / がん / ヘテロクロマチン / 多能性幹細胞 / Fork reversal / 肺腺がん / Mre11 / SWI/SNF複合体 / ATR阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞ではDNA複製ストレスが恒常的に生じており、DNA複製ストレス応答を制御するATRへの依存度が正常細胞よりも高いと予想される。そのためATR阻害剤はがん細胞特異的に作用し得ると注目されている。申請者らは種々の肺腺がんにおいてSWI/SNFクロマチン再構成複合体の構成因子SMARCA4を欠損した細胞は内在性DNA複製ストレスが高く、そのレベルがATR阻害剤感受性と相関することを見出した。本研究では、SWI/SNF複合体変異をATR阻害剤のバイオマーカーとして確立するとともに、ATR阻害剤の作用点およびSWI/SNF複合体変異によるATR阻害剤感受性促進機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
14種類の肺腺がん細胞に対するATR阻害剤の効果を解析比較した結果、内在性複製ストレスレベルがATR阻害剤感受性と相関することが分かり、さらに高感受性細胞の多くにSWI/SNFクロマチン再構成複合体のサブユニットの一つSMARCA4の欠損が認められた。またその作用点として、SMARCA4が欠損していると(I)複製困難領域として知られているヘテロクロマチンが増加することで DNA複製ストレスが生じ、(II)reversed forkにおいてヌクレアーゼであるMre11が過剰に働くことで 一本鎖DNAが生じる、という2つの異なる理由により相乗的にATR阻害剤に効果を示す可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によりSMARCA4欠損がATR阻害剤高感受性のバイオマーカーとなる可能性が示された。近年、発展の目覚ましい分子標的薬によるがん治療は特定のdriver遺伝子を標的としているが、本研究で治療可能性を示したものはがん細胞が持つ特性であるDNA複製ストレスを標的とするため、特定の遺伝子にとらわれず様々ながんへの適用が期待される。また、本来細胞にとって生存に有利に働くとされるやATRが、がん細胞の生存にも寄与する、さらにはATRが機能することで高い複製ストレス下において突然変異を高い頻度で起こしながら生存する可能性が示され、がんの発生、進行悪性化のメカニズム解明に迫る知見であると考える。
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