研究課題/領域番号 |
19K20473
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 北海道大学 (2021-2022) 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (2019-2020) |
研究代表者 |
春間 俊克 北海道大学, 工学研究院, 特任助教 (40836417)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 鉱山 / 重金属耐性 / 内生菌 / ススキ / アカマツ / 重金属ストレス / 鉱山跡地 / 樹木実生 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、高濃度の重金属を含む鉱山跡地の緑化において、遷移初期草本の定着だけでなく森林形成を考慮した樹木実生の定着が望まれている。鉱山跡地の遷移初期草本であるススキは根の内生菌によって有害金属耐性が増強されることが報告されている。ススキの周囲の樹木実生が比較的健全に生育していることから、ススキの周囲は樹木実生の生育の場として機能する可能性を見出した。本研究では、鉱山跡地におけるススキの周囲の樹木実生と、単独で生育している樹木実生の代謝産物や内生菌の感染率などを比較することで、樹木実生の定着に対するススキおよびその内生菌の影響を考察する。
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研究実績の概要 |
長期的な視点から、鉱山跡地の緑化では森林形成のために樹木実生の定着が必要となる。調査地とした鉱山跡地にはアカマツ実生やススキが生育している。ススキの株の内側で生育しているアカマツ実生は正常に生育していた一方、ススキの株の外側ではアカマツ実生の葉に褐変が確認され、環境ストレスを受けていると考えられた。そこで、調査地ではススキの内生菌がアカマツ実生にも環境ストレス耐性を付与すると仮定した。本研究の目的は、鉱山跡地においてススキがアカマツ実生の初期定着を促進する機構を解明することとした。 調査地におけるアカマツ実生は根に高濃度のFeを蓄積していることが確認された。そこでFe解毒物質として、根に含まれるフェノール性化合物の分析を行ったところ、カテキンや縮合タンニンが含有されていた。しかし、ススキの株の外側と内側に生育するアカマツ実生の間でカテキンや縮合タンニンの濃度に有意差は確認されなかった。また、ススキの株の内外に生育するアカマツ実生のFe濃度を測定したが、内側と外側のアカマツ実生において有意差は確認されなかった。そのため、Feの解毒物質の産生促進や土壌からのFeの吸収抑制は生じていないと考えられた。そこで別の環境要因として、地温の変動に着目した。調査地は裸地であり、直射日光による昼夜の地温の変動があると考えられた。ススキの株の内外で地温を測定したところ内側では外側と比較して1日の地温変動が小さいことが確認された。これらの結果から、ススキは急激な地温変動を防ぐことでアカマツ実生の生残に寄与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度はススキの株の内外に生育するアカマツ実生が産生するFe解毒物質の同定および定量を行うことでアカマツ実生の重金属ストレス耐性を比較することを目的としていた。しかし、Fe解毒物質の濃度に有意差が確認されなかったことから、通常の植物の栽培条件で内生菌の接種試験を行っても効果が得られにくいと考えられた。そこで別の環境条件として地温の測定を行うことでアカマツ実生の生残要因を考察した。これらのことから、アカマツ実生への接種試験を次年度に行うこととなり、予定よりもやや遅れて進展することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に得られた地温の条件などを考慮し、アカマツ実生に対する内生菌の接種試験を行う。様々な条件の接種試験から、地温や内生菌によるアカマツ実生の生育への影響を評価し、重金属環境におけるアカマツ実生の定着要因を考察する。
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