研究課題/領域番号 |
19K20517
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
|
研究機関 | 国士舘大学 (2020-2022) 東京外国語大学 (2019) |
研究代表者 |
桐越 仁美 国士舘大学, 文学部, 講師 (70793157)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 人口移動 / 農地獲得 / 農業生産 / 植生移行帯 / 移住形態 / ガーナ北部 / アッパーウェスト州 / チェーンミグレーション / 西アフリカ / イスラーム / 商人 / マイギダ / 中国系 / 移民コミュニティ / 信用 / サハラ以南アフリカ / イスラーム系移民 / 危機回避 / 交易ネットワーク / コミュニティ |
研究開始時の研究の概要 |
西アフリカ・ガーナには各地にイスラーム系移民のコミュニティが形成されている。これらのコミュニティは、歴史的交易を通じて形成され、現在でも交易の影響を色濃く残している。とくに新規参入者の受け入れについては、仲介者を必要とする点、交易ネットワーク上の評判を基準に可否を決定する点で、その影響が強くみられる。交易においてこれらの規範は、商人の安全確保や受入社会との関係維持のために設けられており、危険な人物やトラブルの侵入を未然に防ぐ危機回避術として実践されている。本研究は、交易を起源とする危機回避の実践が、ガーナのイスラーム系移民コミュニティにおいてどのように再編され、機能しているのかを分析する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、西アフリカ内陸乾燥地域からの人口流入が急速に進むなか、ガーナにおいては移民と受入社会とのあいだで紛争が生じていない点に着目し、紛争が生じていない背景を人びとの取り組みから明らかにすることを目的としている。今年度の研究では、ガーナ南部の植生移行帯への人口流入および農地取得の実態についての現地調査・分析を実施した。調査の結果、植生移行帯には多くの移民が流入しており、彼らの多くがサバンナ地域からの移民であった。移民は地域住民から農地を取得しており、いまやこの地域の農業生産者の多くが移民であるという実情が明らかとなった。1960年代はナイジェリアからの移民が農業生産に従事していたが、それが1980年代を境にガーナ北部の人びとに置き換わり、現在では穀物や根塊類などの生産を担う主要な労働力となっている。これまでは移民の農地は年単位での貸借によって確保されていたが、現在は樹木作物を植えることにより成立する農地分割によって移民であっても所有権を取得できるようになっている。しかし、ここ数年は土地法に則った貸付の件数が増加しつつある。現状において地元民は農業生産の主力でもある移民を排斥する意向はなく、共存を望んでいる状況であるが、土地の管理をめぐる移民と地元民の対立は各地で報告されているため、今後もこの地域の動態を観察する必要があると考えられる。なお、この研究成果は、日本語論文1本によって公表される予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査を再開することができ、これまで現地で確認できなかった事象の確認ができるようになったが、現地で新型コロナウィルスに感染したことで、当初予定していた調査は実施できなかった。しかし、急遽予定を変更し、植生移行帯をターゲットにした調査を実施し、その結果を用いて論文の発表もできていることから、概ね順調に進んでいると判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度も現地調査の実施が可能であるため、現地調査を実施する予定である。現地調査では、移民世帯および受入側世帯への聞き取りを実施し、おもにガバナンスの浸透状況とともに農作物生産や商業活動の状況についても詳細に調べることとする。また、移動が制限されていたコロナ禍における移民コミュニティのネットワークについても調査を実施する予定である。ここで得られた調査結果をもとに、秋に予定されている人文地理学会において、ガーナにおける人びとの南北移動とガバナンスについての発表をおこなう予定である。
|