研究課題/領域番号 |
19K20518
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
高木 佑輔 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (80741462)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | フィリピン外交 / 国際主義 / 東南アジア国際関係 / インド太平洋 / 大戦略 / 中国 / 地域主義 / 法の支配 / 中国の台頭 / 国家建設 / フィリピン / フィデル・ラモス / 小国 / 経済外交 / ASEAN / 国際法 / 地域協力 / 外交 / 国際政治経済 / 政策連合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フィデル・ラモス政権期の外交政策を事例にして、その政策を支えた政策連合と、連合が構想した大戦略について分析を行う。同政権期は、米国との関係の再構築、日本の民間企業との関係強化、中国との緊張関係のはじまり、そして在外フィリピン人の保護問題など、フィリピン外交における主要な懸案が噴出した時期である。しかしながら、こうした事態の実態解明が不十分である上、外交を方向づけた大戦略の有無についての考察は皆無である。本研究では、実際に意思決定を行った政策当事者に対するオーラルヒストリーなどを活用しつつ、フィリピン外交の実態を解明することことに加え、大戦略の有無についても分析を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度は、これまでの研究成果を踏まえ、学術書の一章としての日本語論文と、査読付きの学術雑誌に英語論文を執筆、出版した。具体的には、ラモス政権期に役割を変えた国家安全保障会議に注目し、同会議の事務局長を兼任した国家安全保障担当大統領補佐官、ラモス政権の外務大臣、そして外務次官の執筆した著作を集中的に読解した。また、国家安全保障会議が初めて公表した国家安全保障政策についても考察し、ラモス政権期の政策決定のその後の政権への影響を確認した。考察を通じ、これまで軽視されてきた外務省や国防省(と軍と沿岸警備隊)の長期戦略の変遷が明らかになった。特に大統領、外務省と軍という三つの主要なアクターが、それぞれに一定の独自性をもって政策立案と実施を行ってきたことに注目し、専門的な学術書である『「強国」中国と対峙するインド太平洋諸国』(竹中治堅編、千倉書房、2022年)に「フィリピンの対中外交―交錯する3つのアクターと3つ政策」を執筆、出版した。これらの成果を踏まえて学術論文(英語)を執筆した。執筆後、査読付きの学術雑誌であるJournal of Contemporary East Asian Studiesに投稿し、掲載が決定、2023年3月発刊の同誌11号2巻に、"The Politics of grand strategy in an emerging state: a case study on Philippine diplomacy toward China"として出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、これまでの研究成果のとりまとめとなる二つの論文を執筆し、いずれも出版できた。一つ目は、中国の台頭という東アジア、ひいては世界の諸国が直面する課題に対して、インド太平洋諸国との比較のうえで考察する論文(「フィリピンの対中外交―交錯する3つのアクターと3つ政策」)であり、専門的な学術書である『「強国」中国と対峙するインド太平洋諸国』(竹中治堅編、千倉書房、2022年)に所収された。もう一つは、ラモス政権期の大戦略構想と、その後の政権への影響についての考察を含む論文を執筆し、東アジアの国際関係に関する論文が数多く掲載される査読付き英文学術雑誌(Journal of Contemporary East Asian Studies)に投稿、掲載が決定、2023年3月発刊の同誌11号2巻に、論文("The Politics of grand strategy in an emerging state: a case study on Philippine diplomacy toward China")として出版された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で明らかになった地域主義や国際主義に基づく外交の実例についての調査を行う。特に、現代フィリピンの外交についての著作を執筆中の著名なジャーナリストを国内に招聘し、共同研究を進める予定である。
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