研究課題/領域番号 |
19K20522
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東京大学 (2021-2023) 京都大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
中村 沙絵 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80751205)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | スリランカ / 高齢者 / ケア / 福祉 / 介護 / 社会保障 / 高齢者福祉 / 世代間関係 / 社会ネットワーク / 社会的領域 / 南アジア / 少子高齢化 / 福祉の地域的特性 / 福祉社会 / 福祉的給付 / 適切な依存 / 社会なるもの / ケア・ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
「福祉国家」の限界から「福祉社会」への学術的・実践的な転換が起きたとき、そこには 歴史や地理的条件を含む「地域性」が福祉により色濃く反映される、との仮定が伴っていた。 しかし「地域」のどのような特徴が福祉制度に反映されるのかについては、十分に検討され てきたとは言い難い。本研究はこの問題を念頭に置きつつ、少子高齢化が急速に進むスリラ ンカにおける福祉のありようを、詳細かつ包括的に研究する。特に政府や市場、非営利組織や家族・親族など多様な福祉の担い手が相互交渉しながらつくる社会的領域に着目し、スリランカにおける高齢者福祉の実態と特質を解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
スリランカでは過去20年強、家族主義を軸に据えた高齢者政策が整備されてきた。他方で国内外出稼ぎの常態化など、社会はますます流動化しており、子から親への扶養やケアは自明なものではなくなってきている。本研究では今日的状況におけるスリランカの高齢者福祉の在りようを政策面と民族誌的調査の両面から捉えようと試みた。 研究期間を通じて、1)スリランカにおける社会福祉政策の概況を整理し、2)都市部で慢性疾患を抱える高齢者のケア・ネットワークと社会保障手当の機能、3)農村部に独居する高齢者と人道主義的な贈与、4)高齢者施設における扶養とケアという、異なる領域の養老・介護の実践について考察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「近代的」制度にもとづく専門的ケアか「伝統的」制度である家族のケアのいずれかを「のぞましい」とする考え方があるが、スリランカも例にもれない。高齢者のための良質な医療・福祉サービスは高額でアクセスが難しく、世代間関係も流動化している現在、近代的なケアはおろか家族によるケアも当たり前に期待できなくなっている。本研究は、こうした制度にもとづく思考にとらわれずに、いわばスリランカの歴史的・社会的文脈のなかからあらわれる福祉やケアの実践を記述し、日常実践の現場から福祉政策の実態を照射する。こうして、スリランカの社会福祉をめぐる議論に参与しつつ、私たちの身近なケアの営みを振り返る契機を見いだす。
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