研究課題/領域番号 |
19K20526
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 明治大学 (2020-2022) 鹿児島大学 (2019) |
研究代表者 |
鵜戸 聡 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (70713981)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アルジェリア / ベルベル / マグレブ / ユマニスム / イスラーム / アルジェリア文学 / マグレブ文学 / ベルベル文学 / アラブ文学 / ベトナム文学 / 文芸復興 / 文芸共和国 / フランス語圏文学 / レバノン文学 / イスラーム思想 / 人文主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、アラブ=ベルベル世界を中心に、現代イスラーム圏における知的営為、とりわけその思想と文学を「ユマニスム」(人文主義)の観点から再検討することによって、宗教学や国際政治学のグランドセオリーに埋没しがちな「人間という尺度」を取り戻し、「社会からの疎外」や「人道危機」の現場でサバルタン化された「民衆」を一個の人間として主体性を回復させながら議論するための研究領域を構築する。とりわけ「個としての人間」について語ることに優れた文学の強みを活かしながら、学際的研究の基盤としてユマニスム概念を再構築し、国際政治上の重要アクターになることのできない市井の人々の当事者性を前景化させる契機としたい。
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研究実績の概要 |
これまで,イスラームを中心とした信仰と理性の問題(とその表象),アラビア語やフランス語といった書記言語の習得と操作の問題(その背景にある口語の問題)を,現代アラブ=ベルベル作家の創作・議論の分析を中心に検討してきた。 2022年度の研究実績としては,アジア・アフリカ作家会議に関わっていた堀田善衛がアルジェリア革命を背景に執筆した小説『スフィンクス』を,アルジェリアの作家・研究者のムールード・マムリや在日朝鮮人作家金石範などと併せて論じた「日本・アルジェリア・朝鮮を結ぶアフリカの次元」を論集『植民地化・脱植民地化の比較史』に寄稿した。また,イスラーム過激派を激しく指弾している小説家ブアレム・サンサールの『ドイツ人の村』について『アステイオン』誌に論考「テロとナチスとアルジェリア」を執筆した。 口頭発表では,国際芥川龍之介学会のシンポジウムや,明治大学国際日本学研究科の開設10周年記念事業「国際日本学で拓く」において,それぞれ「ハルキとアクタガワは同じ「世界」に居るのか?:「世界文学」を逆手に取る方法」「世界は天下か万国か:世界文学と英語帝国」と題して「世界文学」について批判的に検討する発表・講演を行った。 さらに,コロナ禍が終息に向かい3年ぶりに海外渡航が可能になったため,11月に釜山外国語大学イスラム・地中海研究所を訪問し,シンポジウムに参加した。また2月末にベトナムに渡航し,アルジェリアの作家カテブ・ヤシンがハノイで知り,インタビューや演劇作品で何度も言及している徴姉妹(ハイ・バー・チュン)の廟やモスクを訪問,仏越関係史などに関わる現地発行資料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目からコロナ禍に突入し,当初の計画からは方向性を変更せざるを得なかったが,アルジェリアを中心としたアラブ=ベルベル文学研究を基調としつつ,ベルベル語歌謡,オック語文学研究,ベトナム・フランス語文学などに,ユマニスム研究の領域を拡大させながら発展的に研究を進めてきている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで,文学創造における「リングア・フランカ」,あるいは「ユマニスム」の実践としてのフランス語あるいは正則アラビア語使用の問題を,口語アラビア語・ベルベル語のオラリティとの関わりにおいて検討し,時にはオック(語)文学,台湾(語)文学やベトナムのフランス語文学の状況と比較にも着手してきた。現代文学を中心としてきたこれらの研究を発展させて,アラブ古典における詩語・トポスについて検討したい。
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