研究課題/領域番号 |
19K20537
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 農林水産省農林水産政策研究所 |
研究代表者 |
伊藤 紀子 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (80751809)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ケニア / 食料分配 / 子ども / インドネシア / 社会関係 / ネットワーク / ネットワーク分析 / 食事調査 / 農村調査 / 比較研究 / 農村開発 / アジアアフリカ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アフリカとアジアの農業開発政策が農村社会に異なる影響を与えてきた過程を食料分配慣行や子どもの食事の獲得機会に注目しながら明らかにする。ケニアの灌漑事業区では、コメの分配や子どもの世帯外での食事獲得により世帯間の経済格差が是正され、社会関係が再生産されてきた。一方、インドネシアの商業的農村では、伝統的な慣行の衰退と社会関係の分断が起きてきた。両地域における社会関係構造を、共通の手法である社会ネットワーク分析を適用して定量的に把握することを通じて、「持続可能な開発目標」(SDGs)の概念とも整合的な住民の価値観に沿った持続可能な政策オプションを提案する。
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研究実績の概要 |
本研究は、アフリカとアジアの農業開発政策が農村社会に異なる影響を与えてきたことに注目し、ケニアとインドネシアの稲作農村地域において、社会ネットワークを通じた食料分配の機能を検討することを目的とする。アフリカやアジアの農村における社会関係や子どもの食事の実態を把握することを通じて、持続的な農業生産や食料消費を可能にする農村振興策への示唆を得る。 2022年度は、ケニアやインドネシアでの調査を実施し、稲作農村における食事の調査やネットワークに関する詳細な聞き取りを行うことができ、現地での情報収集に基づいて分析を進展することができた。関連して、農林水産政策研究所主催の世界の有機農業・持続的農業・食料消費などに関するセミナー(シンポジウム)では、総論を担当して途上国・先進国におけるオルタナティブな農業(環境親和的農業)が広まっている動機や国の間の違いを分析し、インドネシアにおける持続的な農村開発や有機農業の進展についても研究成果を報告した。このセミナー(シンポジウム)では、研究者や報道などから反響を得ることができ、関連する雑誌でのインドネシアなどにおける世代を超えた伝統的農業システムや食料生産システムの普及の実態や背景についての論考の発表や、大学での成果の紹介なども行った。ケニアでの調査の成果は、前年度のインターネットを通じて得られた情報収集の結果と合わせた分析としてまとめ、アフリカ学会誌『アフリカ研究』において、査読付き論文として発表した。また、アフリカの食料消費や持続的農業生産、農村開発に関して総合的な視点からとりまとめた報告書を「カントリーレポート」として刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までは世界的なパンデミックにより渡航による海外出張が行えなかったが、2022年度はアフリカやインドネシアへの出張を行うことができ、現地調査計画を進められた。また、セミナー、学会、学会誌、雑誌などにおいて研究成果の公表も行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、昨年度までのパンデミックの影響による海外出張困難や調査の遅れなどを理由に、延長が認められたため、次年度に関しては、これまで得られた情報のとりまとめと成果の最終的なとりまとめを予定している。インターネットやウェブ会議を通じて得られた情報の確認、海外現地調査から得られた開発政策や国際協力への含意を導き、ネットワーク分析などを完成させ、学会誌、一般向けのシンポジウムなどの情報提供の機会を通じ、広く社会に発信することを目指す。
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