研究課題/領域番号 |
19K20545
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
|
研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
和田 理寛 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (70814325)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 上座部仏教 / 少数民族 / 僧伽 / 宗派 / モン(Mon) / ダウェー / タイ / ミャンマー / 東南アジア / 民族と宗教 / 東南アジア大陸部 / 誦経 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は仏教と民族の関係について論じるものである。より具体的には、東南アジア大陸部で広く信仰されている上座部仏教(上座仏教、南伝仏教とも称す)の出家者について、少なくとも5~6の言語・文字を基礎とした「民族宗派」と呼びうる中間レベルの社会空間が広がっていることを指摘し、その根拠と全体像の解明を目的とする。
|
研究成果の概要 |
上座部仏教社会において「民族宗派」ともいえる出家者集団が形成されてきたことを、少数民族モン(Mon)の例から明らかにした。モン僧伽は、誦経の際、文字体系に基づいた独特の発声を伝統的に行っているが、19世紀以降はそれが宗派形成へと展開した。タイでは、タンマユット派内部にモン派があり、近年まで独自の出家式を行っていた。ミャンマーでは、3つのモン派それぞれが自派僧院リストを作成し、民族宗派というまとまりを定期的に視覚化してきた。博論でも言及したこれらの点について、本研究は追加調査を行い、2本の論考として発表した。また雑誌分析から、モン僧は在家民族団体以上に、自言語に強いこだわりをもつことを論じた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで宗教と民族意識やナショナリズムとの関係は広く議論されてきた。しかし、上座部仏教の内部でも民族(とくに少数民族)ごとに異なる出家者集団が形成されてきたことは、十分に明らかにされてこなかった。そうしたなか本研究は、モンやダウェーの事例から、上座部仏教の僧伽もまた、民族主義や地域主義と密接に関わり合い、独自の宗派を形成してきたことを明らかにできた点で学術的に意義があった。とくにモンの例については出家者が書き言葉の担い手として民族主義を先導している点も再確認できた。また、これまであまりなかった、上座部仏教社会に関する概説書を共著で上梓し、各国各地域の異同を紹介できたのは社会的意義があった。
|