研究課題/領域番号 |
19K20558
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
林 裕 福岡大学, 商学部, 准教授 (40779980)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アフガニスタン / 地域社会 / 平和構築 / 農村部 / 統治機構 / 地域ネットワーク / ディアスポラ / 紛争影響下 / 国際援助 / 都市部と農村部 / 文献調査 / ダリー語調査 / 農村 / 現地調査 / 出版 / アフガニスタン政府関係者 / 行政機構 / 結びつき |
研究開始時の研究の概要 |
「紛争影響国における平和構築において地域社会が果たし得る貢献は何か」を中心的な問いとして追及する。
本研究では、日本も含め国際社会からの巨額の支援の下で平和構築の取り組みが大規模に実施されてきたアフガニスタンを事例として取り上げる。2001年以降新しくできた中央政府の再建、民主的選挙の実施という「平和構築」の取り組みを、詳細に現地の在り様を見ていく地域研究の視点も生かしつつ地方の文脈から解釈しなおすことを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、アフガニスタンを対象として、平和構築という文脈で地域社会が果たしえる貢献は何かを問うてきた。同国は、2021年8月15日に、共和国が、タリバンによって、首長国となった。農村部で暮らす農民、元戦闘員、そして女性、ディアスポラに対してインタビュー調査を実施してきた。これらからは、人々の生活の悪化、中央政府の施策の減少、そして、海外からの送金増加であり、これによる農村地域の安定化であった。農村部が再び地方インフォーマル・ガバナンスに戻ったこと、行政機構と距離を取るガバナンス体制の出現、しかしそれは、ガバナンスの低下と、自由な発想と行動を犠牲とした、緩慢な減退を代償とした安定であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、平和構築と開発研究の分野において、民主的な政体が崩壊して、イスラム首長国となったアフガニスタンを対象としているが、紛争影響国という「場」においても、地方農村部が独自にインフォーマル・ガバナンスを維持させていることが明らかになった。また、海外からの送金が、紛争下で困窮していく農村社会を維持することに一役買っていること、しかし、現地において教育や行動の自由が制限されたとき、単なる経済的悪化ではなく、思想・信条の自由や行動の自由といった、人々の内面が制限、そして世代を超えて再生産されていくということを明らかにできたことは、本研究の学術的、そして社会的な貢献の一助となると考える。
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