研究課題/領域番号 |
19K20559
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都大学 (2021-2022) 総合地球環境学研究所 (2019-2020) |
研究代表者 |
小林 舞 京都大学, 経済学研究科, 特定助教 (30782297)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Food Citizen / Food Web / Post-growth / Food Futures / Bhutan / Japan / 日常食 / 農村開発 / ブータン / 質的データ / 食の主権 / アグロエコロジー / 有機農業 / 農業技術支援 / 農業技術開発 / 家畜飼養 / 食肉 |
研究開始時の研究の概要 |
ブータンは、インドと中国に挟まれた地政学的状況の下で、国家政策として仏教思想を軸とする国民総幸福度(GNH)を唱え、世界で類を見ない進歩的で多面的な開発政策や制度をいち早く進めてきた。申請者はこれまで、そうした国家主導の有機農業政策と現実的な近代化政策との合間におかれた小規模家族農家がいかに柔軟にそれに対応しているかを実証的に辿ってきた。本研究は、家畜飼養と食肉習慣の変容に焦点を当て、ブータンにおける国家主導の開発政策や宗教さえ含むトップダウンの制度的要素が、実際の暮らしを成り立たせているさまざまな要素とどう関係し合い、「食の主権」の構築にどのような影響を及ぼしているのかに着目する。
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研究実績の概要 |
本研究はブータン国家主導の有機農業政策や現実的な近代化政策との合間におかれた小規模家族農家がいかに柔軟にそれに対応しているかを実証的に辿り、家畜飼養と食肉習慣の変容に焦点を当て、よりアグロエコロジカルな食農体系がどのように築かれうるかについて考察することを目指している。
本年度は、昨年度夏に実践したブータンにおける日常食の記録の整理、分析を進め、本として出版するため、出版社との交渉を進めている。昨年度に続き、ブータンへの現地フィールド調査が実現しなかったため、主に、「食の主権」をテーマとした論文などを中心に出版することとなった。主な出版物として、食の民主主義、食の主権を政策として取り組んできる事例を紹介する「ミュニシパリズムによる食の民主化とフードウェブの再構築ー食と農から築く市民による自治の取り組み」と題する論文を季刊農業と経済(2022)にまとめ出版した。共著論文になるが、MeGreevy et al."Sustainable agrifood systems for a post-growth world" Nature Sustainability(2022);McGreevy et al. "Learning, playing, and experimenting with critical food futures"をFontiers in Sustainable Food Systems (2022)の査読付き論文を2本投稿した。
その他、これまでのブータン研究の紹介として、第23回日本有機農業学会大会にて、「ブータンの有機農業100%への道のり」と題する口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度に引き続き、コロナパンデミックの影響で、予定していた現地調査ができないでいる。2021年度に収集できたデータを用いてブータンにおける食習慣の変貌、そして、農村及び都市部における食のランドスケープの多様性をまとめた本の出版を進めている。その他、同調査結果を用いた学術論文の出版も進めている。コロナ禍の規制がやっと緩和されたため、2023年度は現地調査を行い、研究をまとめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、これまでの調査で蓄積したデータの解析を進め、学術論文、編著本、及び超学際的な多言語本の出版を進める。海外フィールド調査の再開の目処が立ちそうなので、可能な限り現地調査を行い、コロナパンデミックの影響で、近隣諸国との国境が閉鎖された経験から、ブータンが食料安全保障をどのように捉え直してきたのかを明らかにしていきたい。
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