研究課題/領域番号 |
19K20580
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大野 聖良 神戸大学, 国際文化学研究科, 特別研究員(RPD) (20725915)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 興行 / 入国管理 / フィリピン / 移住女性 / 招聘業界 / NGO / 出入国管理 / エンターテイナー / 日本 / ジェンダー / 統治性 / エンターティナー / 在留資格「興行」 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、過去20年間にわたって東南・東アジア女性、特にフィリピン女性の移動を大きく特徴づけてきた、在留資格「興行」の成立・運用をめぐる言説編成を、日比間の行政・業界団体・NGOという複数のアクターから注目し、入国管理が移住女性のジェンダーやセクシュアリティをいかに規定しながら、女性たちの来日・就労を形成してきたのかを明らかにする。送り出し・受け入れ社会双方の移住労働をめぐるジェンダー規範に留意しつつ、在留資格「興行」の成立と展開が移住女性にどのような複数の権力を行使してきたのかを把握することで、入国管理のジェンダー分析という新しい研究領域の開拓を目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、在留資格「興行」の制度化と帰省を取り巻くアクターの言説に注目し、移住女性のジェンダーやセクシュアリティを規定しながら、それらの言説が女性たちの移動と就労を形成してきたかを明らかにする研究であり、本年度は、夏季に、フィリピンの政府機関やNGOでの資料収集・インタビュー調査と論文投稿等の研究成果の発信を行う予定であった。前者については、新型コロナウィルスに罹患し、一定期間にわたり副作用で体調がすぐれなかったため、フィリピンでの調査を遂行することができなかった。後者については、これまで実施してきた日本の招聘業界と人身取引問題をめぐる日本政府とNGOの動向を分析し、研究成果として投稿論文や学会報告で発表した。具体的には、日本最大の招聘業界団体(2005年当時)のニューズレターを中心に、招聘業界において外国籍女性(フィリピン女性)の興行がどのように語られていたのかを分析し、特に「接待」をめぐる入管との攻防とそれらの議論におけるエンターテイナー女性の不在について明らかにした。この研究成果は、日本女性学会2022年度大会での研究報告や日本移民学会『移民研究年報』で研究論文(掲載決定)として発表した。また、日本における人身取引問題においてエンターティナーをはじめとした外国籍女性の被害の言説がどのように変遷したのかを、政府による『人身取引年次報告書』を用いて考察し、「ホステス業」に従事する外国籍女性の被害が人身取引対策でどのように位置づけられているのかを明らかにした。これについては、インドネシア大学・アジア女性学会共催のシンポジウム(オンライン)で研究発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
夏季に予定していたフィリピンへの調査が新型コロナウィルスの罹患によって実施不可能となったため、フィリピンで収集予定であった政府機関やNGOの資料や学術雑誌記事等を追加収集できなかったため、フィリピン社会の「興行」をめぐる言説分析のさらなる展開が難しく、その点で進捗状況にやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は再度フィリピンへの調査を計画・実施し、資料の追加収集を行い、フィリピン社会における「興行」言説の分析をすすめる予定である。これまで実施した日本の入管と招聘業界の「興行」言説の考察と合わせて、在留資格「興行」からみる入国管理のジェンダー分析を完成させたい。
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