研究課題/領域番号 |
19K20585
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
山本 由美子 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 准教授 (20716435)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 進化論 / 類としての人間 / 細胞融合 / 卵なき誕生 / 母なき繁殖 / 性なき遺伝的乱行 / 『妖怪人間ベム』 / 反包摂 / 生物 / 進化 / 「普遍的人間」 / ポストヒューマン / 規範 / 生成 / 動的編成 / バイオテクノロジー / 遺伝子 / 有性生殖 / 異種細胞融合 / 反人間中心主義 / 反異性愛規範 / 生資本 / 生権力・生政治 / 身体 / 生体組織 / 資本主義 / 自律性 / 統治性 / 妊婦身体 / 生資本(バイオキャピタル) / 中絶胎児組織 / バイオ資本主義(バイオキャピタリスム) |
研究開始時の研究の概要 |
生命が物質化・情報化され「生資本(バイオキャピタル)」として流通するバイオ資本主義は、グローバルな資本主義と一体となりすでに現代社会に出現している。本研究では、欧米を中心として生命科学と資本主義が「生資本」をめぐって立ち現れている状況を理論化する。 再生産に関わる新バイオテクノロジーは、女性の主体性こそがその運用を広く循環させるのであり、本研究はこれを〈子産みの統治性〉としてあらたな概念に位置づける。さらに、バイオ資本主義における生権力と再生産が展開する搾取・交換・循環・市場のメカニズムを究明し、妊婦身体と胎児および中絶胎児をめぐる生資本論の理論的枠組みを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究は、生命や身体の資源化をめぐるこんにち的な生政治とその統治技法を明らかにすることを目的とする。今年度の本研究の主軸は、バイオ研究における資本創生を主眼とする動向を批判的に検討し、生物における細胞や遺伝子ならびに生物個体・身体そのものの生きるポテンシャルを明確に前景化することにある。今年度は、生殖とテクノロジーをめぐる統治性をポスト・ヒューマンの視点から問い直すことに重点を置いた。そのさい、特定の表象文化についての哲学的考察と進化論に基づく分析がきわめて有用であった。その射程は、現実世界における既存の諸規範に内在する「健常・異性愛・人間種中心主義」を炙り出すことまでを含んでいる。総じて、「人間ならざる」とされた存在に差し向けるまなざしこそを批判的に分析することで、〈類としての人間〉と反包摂の関係を、人類の生物としてのあらたな可変性という切り口から論じることができた。その成果として、単著論文を共著に寄せ、刊行に至った。 一方で、本研究過程で積み残した課題として、バイオテクノロジーと経済活動の交差する部分と再生産(生殖)との関係について、整理および理論化の途上である。バイオ資本主義において、身体とテクノロジーを介し、生殖する身体は何を交換し、何に「投機」しているのか。また医療者や科学者は、他者の身体を介し、何を交換し何に「投機」しているのか。これらについて引き続き考究していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究過程において、積み残した課題がいくつかあり、論点整理と理論化の途上である。左記は、本務校での業務多忙により2022年度中に達成できなかったため、研究期間を延長して取り組むこととした。研究成果の発表に向け、補完的文献調査とさらなる考察の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究過程で積み残した課題として、バイオテクノロジーと経済活動の交差する部分と再生産(生殖)との関係について、整理および理論化の途上である。今後の研究推進方策は、1)バイオ資本主義において、身体とテクノロジーを介し、妊娠する身体は何を交換し、何に「投機」しているのか。2)医療者や科学者は、他者の身体を介し、何を交換し何に「投機」しているのか。これらについて引き続き考究していく必要がある。さらには研究課題全体として、生殖をめぐる統治権力のありようを多面的に総括していく予定である。
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