研究課題/領域番号 |
19K20594
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
臺丸谷 美幸 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 准教授 (40755394)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ジェンダー / エスニシティ / 日系アメリカ人二世 / 二世兵士 / 朝鮮戦争 / インタビュー調査 / 日系人強制立ち退き・収容問題 / 日系アメリカ人兵士 / 日系二世 / 市民権 / オーラル・ヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、朝鮮戦争(1950-1953年)へ従軍した日系アメリカ人兵士(日系人)の戦争経験について、エスニシティとジェンダーの視点から分析し、1950年代における日系人のアメリカ合衆国及び東アジアにおける社会的立場を明らかにすることにある。本研究では、朝鮮戦争期の日系人兵士の考察を通して①冷戦初期の合衆国における対東アジア政策における日系人の役割、②冷戦初期の合衆国軍隊における人種統合とジェンダー平等推進政策の経緯が日系人兵士個人の従軍経験に与えた影響について明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、朝鮮戦争期の日系アメリカ人二世兵士の社会的立場の解明にある。手法は①米国カリフォルニア州での日系二世の退役軍人へのインタビュー調査と分析、②新聞等のメディア分析とした。朝鮮戦争期の二世兵士は5-6000人ほど存在し、朝鮮半島に派兵された者は2-3000人足らずであった。ごく少数ではあったが、その歴史的重要性は、むしろ日本、朝鮮半島、その他のアジア地域と合衆国を結ぶ、境界的かつ稀有な存在にこそある。 2021年度の主な成果は①投稿論文の刊行、②国際学会での口頭発表の2点であった。 ①2019年以前に実施した日系二世の朝鮮戦争退役軍人に対するインタビュー調査の分析を基に、朝鮮戦争への従軍動機に焦点を当て、軍隊参入前後における彼らの社会的立場の変化を明らかにした。朝鮮戦争期は米国西海岸出身者にとっては太平洋戦争下の強制収容政策直後に当たり、最定住期である同時代性に注目した。結果的に日系二世の軍隊参入は彼らの1950年代初めの社会参入を促進した。軍隊参入は当時の日系二世に許されていた数少ない社会進出の手段であり、当時の社会規範を脅かすことはないと政府や社会に受け止められた結果であった。 ②日系二世の朝鮮戦争の従軍と再定住経験に焦点化し論じた、移動の視点から見ると、西海岸出身者は僅か10年の間に強制立ち退き収容、再定住、朝鮮戦争期の従軍と国内外の移住を複数回経験している。本稿ではこれらの移住経験は日系二世としてのエスニック・アイデンティティへいかに影響したかを考察した。 次年度は最終年度のため、研究成果の論文執筆・刊行に尽力したい。しかし、引き続き海外での現地調査は困難であることが予測される。日本国内での研究調査を再開し、引き続き、2019年度までに収集したインタビューデータ、文書資料の整理・分析と、新聞等のメディア分析を中心に研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、海外調査を実施できない状況が続いているためである。しかし今年度はコロナ禍以前に収集した口述・文書資料を用いることで論文刊行が叶っているので、今後もこれまで収集した資料と、海外在住の調査対象者に対してはメールや電話などを使った追加調査を行うことで十分遅れを挽回できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年から継続する新型コロナウイルス感染流行・拡大により、海外での現地調査を実施できない状況である。次年度は本課題の最終年度にあたるが、当初の計画では十分な成果は出せないと予測される。今後は日本国内の現地調査に重点を置き、①冷戦初期の対東アジア政策における日系人兵士が果たした役割の解明、②日系人兵士の東アジア認識の解明、加えて、③日本国内に所在する日系人や日系人兵士に関連する記念碑顕彰の分析を通して、日本国内の日系人兵士像についての検討に重点を置く。また、日系二世の退役軍人を対象としたインタビュー調査は対面での実施は困難ではあるが、メール、電話、手紙等での追加調査を今後も継続していく。
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