研究課題/領域番号 |
19K20598
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山添 康介 東京大学, 物性研究所, 特任研究員 (70815761)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 軟X線発光分光 / 溶液セル / 水の構造 / 水素結合 / 温度 / 相転移 / 軟X線吸収分光 / 高分子 / 溶液化学 / 物理化学 |
研究開始時の研究の概要 |
近年「真空隔離窓を用いた溶液セル」を利用し、大気圧環境下の液体の電子状態観測が行われている。軟X線発光分光は H2O 等の軽元素の電子状態を観測するための強力なツールである。水の水素結合に関係する水分子の酸素の電子状態を観測しており水の水素結合の形成や切断などミクロな水の構造情報が得られる。 本研究では、広い温度範囲において安定な温度可変溶液セルシステムを開発し、温度を基軸とし電子状態に立脚した水の構造解析を推進するためのシステムを創成する。さらに本システムを用いて、液中感温性高分子の温度誘起構造転移(33℃)など水が鍵を握る現象の起源を水のミクロな構造の観点から解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、温度制御機構を備えた軟X線発光分光用の溶液セルを開発し、-30℃~80℃の範囲で任意の温度に試料温度を制御することが可能になった。さらに湿度制御機能と組み合わせた利用も可能になった。開発した温度可変溶液セルを用いて、液体のエタノールの局所構造の変化を観測した。また温度応答性高分子が水中で相転移する過程で、高分子と水との水素結合状態変化も観測した。今回温度制御機構を付与することで軟X線発光分光による水や高分子の構造解析技術の実用性を向上することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高分子や溶液の温度相転移は、化学および技術の分野で大切な情報であるにもかかわらず、その構造に関しては十分に理解されていません。本研究で開発した技術により、溶液や高分子の構造変化を明らかにできれば、高分子の性質を(物質を構成する)電子の状態から理解することができ、それをより上手く制御することができる。これにより、吸着・脱着、親水性、凝集などの様々な溶液物性や機能を最適にコントロールする技術の開発につながるだけではなく、例えばたんぱく質の異常凝集の起源解明など、社会や医療の発展にも貢献することが期待される。
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