研究課題/領域番号 |
19K20600
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
|
研究機関 | 東北大学 (2021-2022) 京都大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
齋藤 真器名 東北大学, 理学研究科, 准教授 (80717702)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 原子・分子ダイナミクス / 放射光 / 準弾性散乱 / 核共鳴散乱 / メスバウアー / ゴム / 準弾性散乱測定 / 原子ダイナミクス / ガンマ線準弾性散乱 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、産業材料を含む身の回りの物質中の原子・分子の構造は解明されつつある。しかし、それらの運動となるとほとんど解明されていない。そのため原子・分子の運動の関係する様々な物性や機能のメカニズムは未だによくわかっていない。本研究は、原子の運動を非常に高感度に測定できる新規ガンマ線干渉計を開発し、ナノ秒~マイクロ秒の時間スケールの原子・分子運動の測定効率を向上させることを第一目的とする。そして、それを用いてタイヤのモデル系において、高分子とナノ粒子というタイヤの主たる構成要素の運動の時定数をそれぞれ高精度に決定することで、タイヤのグリップ特性に直結するゴム粘性のミクロな起源を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究ではまず時間領域干渉計法を高度化することで、測定の効率を2倍程度向上しさらに微視的構造が時間的に緩和する様子のより明瞭な可視化が可能となった。この新手法を用いることで、ポリブタジエンゴムにシリカナノ粒子を添加するとJohari-Goldstein(JG)緩和が遅くなることが分かった。次に、シリカナノ粒子を含まないポリブタジエンゴム中に延伸ひずみを与えると、逆にJG緩和は速くなるという結果が得られた。これらの結果から、シリカナノ粒子の添加や延伸によりJG緩和はそれぞれ鈍化、高速化するという高分子材料の物性理解や機能向上のための新規で重要な知見が得られた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Johari-Goldstein(JG)緩和はプラスチックなどの非晶質固体の粘弾性特性や破壊力学特性、安定性に強い影響を与える緩和であるため精力的に研究されている。しかし、その微視的な起源(緩和の描像)は未だ明らかになっていない。本研究の結果は、ゴム中のJG緩和に対するシリカナノ粒子添加や延伸の影響を明らかにしただけでなく、JG緩和の起源に関する大きなヒントを与えるものである。本研究から得られた特異な挙動をもとにJG緩和の描像を明らかにしていくことで、微視的な構造ダイナミクスの観点から高分子物質のマクロ物性の微視的理解やその機能改善の道を切り開くことが可能となる。
|