研究課題/領域番号 |
19K20603
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
横山 優一 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 放射光利用研究基盤センター, 博士研究員 (20824163)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 位相回復アルゴリズム / スパースモデリング / シングルショットイメージング / 位相回復アルゴリズム開発 / コヒーレント回折イメージング / 時空間分解計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では電子のもつスピン自由度に着目し、スピンの渦構造である磁気スキルミオンなどの磁気テクスチャーを時間的・空間的に分解して計測するシステムの構築と解析手法の開発を目指す。磁気スキルミオンは孤立粒子のように振る舞うため情報を運ぶ媒体として機能するが、次世代デバイスへの応用には光などの外場による磁気スキルミオンの制御が不可欠である。そこで、X線自由電子レーザーを用いたフェムト秒スケールの時間分解コヒーレント回折イメージング手法とスパースモデリングを取り入れた位相回復アルゴリズムを開発して組み合わせることにより、X線シングルショットで情報抽出可能な計測手法確立を目指す。
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研究実績の概要 |
代表的な磁気テクスチャーの一つである磁区を対象とし、コヒーレントX線回折イメージングによるダイナミクスの観測を実現させるため、スパースモデリングに基づく位相回復アルゴリズムの開発とシングルショット計測における有効性を確認するためのシミュレーションを昨年度に引き続き進めた。開発したアルゴリズムでは、磁区構造のスパース性をTV正則化により取り入れ、透過強度に関する事前情報をL2正則化により取り入れることで、シングルショット計測で想定されるノイズや情報欠損を含む回折図形からでも実空間像の再構成が可能となる。さらに、パターン形状が迷路状から島状まで変化しても有効に機能することを明らかにした。磁区パターンが時々刻々と変化する状況にも適用できるため、磁区構造のダイナミクス研究で活用が期待される。 開発したアルゴリズムとシミュレーションの詳細についてまとめた論文を執筆し、2022年2月に日本物理学会の論文誌JPSJから出版された。同時にプレス発表を行い、日刊工業新聞の2022年2月7日版やOPTRONICS ONLINE等に掲載された。 国内の学会やワークショップ等でも研究成果の情報発信を行い、2021年12月の第13回放射光学会若手研究会で講演、2021年12月の第71回SPring-8先端利用技術ワークショップで講演、2022年1月の第35回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムで口頭発表を行った。 2022年度に開催される国際会議OPTICS & PHOTONICS International Congress 2022の専門会議LSC2022の招待講演にも選出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析アルゴリズムの開発とアルゴリズムに関する論文の執筆は順調に進んだ。論文は日本物理学会の論文誌JPSJから出版され、新聞やオンラインニュースにも掲載された。国内の学会やワークショップ等でも幅広く情報発信を行った。 一方、新型コロナウイルスの影響で中断していた実験は、2021年度も再開できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
開発したアルゴリズムを実際の計測データに適用し、実データに対しても有効に機能することを明らかにしたい。中断していた実験を再開できるかは未定のため、磁区や磁気スキルミオンのコヒーレントX線回折イメージングに限定せず、計測対象や実験手法の範囲を少し広げて、実データへの適用を実現したいと考えている。 国際会議や学会誌の解説記事等を通じて、開発したアルゴリズムを国内外に広く紹介することにも力を入れたい。
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