研究課題/領域番号 |
19K20607
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
菅原 健人 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 技術員 (80831304)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 放射光X線 / 計測技術 / レイトレース法 / 磁化測定 / 磁性体 / 蛍光X線 / 円偏光 / ディープラーニング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近年新たに発見された磁気光学効果を用いた試料内部の磁化観測が可能な磁気光学顕微鏡の構築のための受光光学系の自動最適化を目的とする。受光光学系は主に平行化ミラー、移相子、偏光・エネルギー分析器、検出器で構成される。特に平行化ミラーを用いた際の各光学素子の調整は非常に時間と労力を要し、現実的な実験時間を実現するためには受光光学系の自動調整機構が必須となる。本研究では、各光線の軌跡をシミュレーションするレイトレース法とディープラーニングを組み合わせて、この受光光学系の自動最適化環境を構築し、実際の放射光実験にてその効果を実証する。
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研究成果の概要 |
本課題ではX線磁気円偏光発光を用いた磁気光学顕微鏡の受光系の調整法の確立と、研究過程で開発した深さ分解測定技術について研究した。X線磁気円偏光発光はバルク敏感な磁気光学顕微鏡としての応用が期待されるが、受光系に利用する平行化光学系の調整手法に課題があった。 平行化光学系の調整手法については、角度発散を最小とするために、平行化ミラーの反射X線の強度分布情報を用いた粗調整と角度発散の直接計測による微調整を組み合わせる手法を確立した。一方研究過程で、反射X線の角度分布と発光点空間分布が一対一に対応する事を確認し、この特性を利用して、深さ分解測定技術を開発し、実証実験および特許出願を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本課題における研究は従来にない数十μmの深部の磁区まで計測可能な磁気光学顕微鏡の開発に関するものであり、実用化の課題となっていた受光系における平行化光学系の調整手法を確立したものである。これにより、電磁鋼板などの磁性材料において、絶縁被膜の付いた実材料においても、その深部磁化情報の計測が可能となった。また研究過程で開発した深さ分解測定技術を利用することで、表面情報と深部情報とを分離でき、従来の表面のみの観測では予想するしかなかった、深部の磁区の実測が可能となる。これはエネルギー損失の原因となる異常磁区の発生メカニズムを明らかにする手掛かりとなり、材料開発へのフィードバックが期待される。
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