研究課題/領域番号 |
19K20646
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 東京大学 (2021-2022) 京都大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
ユ リラ 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (60760709)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 発達科学 / 乳幼児 / リズム知覚 / 知覚ー運動協応 / 相互作用 / 発達 / 認知科学 / 社会的認知 / リズム / 時間的随伴性 / 自己認識 / 協調行動 |
研究開始時の研究の概要 |
他者とリズムを合わせる能力は、集団における協調的行動の基礎である。ヒトとチンパンジーを対象とした比較認知科学研究から、ヒトは進化の過程で正確かつ迅速な「リズムを合わせる能力」を獲得したことが分かった(Yu et al., 2018)。では、我々はこのヒト特有のリズムを合わせる行動特性を、発達の中でいつ・どのように獲得するのだろうか。本研究では、2.5歳以前の乳幼児期の発達過程に焦点を合わせて、他者とリズムを合わせる行動の出現時期を明らかにする。また、リズム合わせ行動の出現に、知覚―運動協応および社会的認知の発達がどのように関わっているかを実証的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
他者とリズムを合わせる能力は、ヒトにおける協調的行動の基礎である。本研究では、ヒトとチンパンジーの比較認知科学研究(e.g., Yu et al., 2018)から明らかとなった、正確かつ迅速なヒトのリズムを合わせる能力の「発達的起源」を探求する研究を進展させている。乳幼児期2.5歳以前の発達過程に焦点を合わせて、他者とリズムを合わせる行動の出現時期を明らかにした。 2022年度は、Yu & Myowa (2021)と同様の実験場面で、2歳児を対象に収集したデータから、他者とリズムを合わせる行動の発達過程をより詳細に明らかにした。本研究成果は、オープンアクセスの国際学術誌Frontiers in PsychologyのResearch Topic "Entrainment and Responses to Rhythmic Stimulation during Development"に掲載した (Yu et al., 2022)。また、これまで行った比較認知科学および発達科学の観点から研究成果をまとめ、共同研究者の京都大学大学院教育学研究科・明和政子教授が主催する国際ワークショップにて発表した。本ワークショップ後には、東京大学ニューロインテリジェンス国際研究機構の長井志江特任教授と、他者とリズムを合わせる能力の背後にあるメカニズムについて議論を行うことができた。今後の共同研究が期待される。その他、「同期行動が乳幼児の援助行動に与える影響」に関する研究成果を、明和政子教授と当研究室の大学院生と取りまとめ、国際学術誌に投稿して現在査読中である(Todoriki, Yu & Myowa, in revision)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで収集したデータの解析結果から、本研究目的であるヒト特有の「リズムを合わせる能力」の発達過程の一端を明らかにすることができた。研究成果を着実に国際学会で発表し、3本の研究論文として国際学術誌へ投稿した(Yu & Myowa, 2021; Yu et al., 2022; Todoriki, Yu & Myowa, in revision)。なお、Yu & Myowa (2021)に関しては、発達科学分野の国際学術誌 Infancy の最近2年間のTop cited articlesに選出された。当初予定していた実験室訪問型のデータ収集は、新型コロナ感染症拡大防止のため当該年度も延期したが、新たな分析方法により、これまで得られた種差および種内の個体差を理解できる共同研究の立ち上げが期待される。そのため、進捗状況としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の前半は、研究代表者の事情により(出産および育児)、研究中断を予定している。研究再開予定の9月からは、これまで収集したデータを中心に、新たなデータ解析と共同研究を進める予定である。研究結果は、国内および国際学会へ積極的に参加し、本研究成果の発表を行う予定である。また、並行して国際学術誌への投稿を目指す。
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