研究課題/領域番号 |
19K20647
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
大貫 良幸 自治医科大学, 医学部, 助教 (90835993)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 時間予想 / 海馬 / 時間推定 / 皮質脳波 / 機能的磁気共鳴画像法 / 予想時間評価 |
研究開始時の研究の概要 |
日常生活にて自動車渋滞や店の待ち時間など時間の見積りが必要な機会は多い。将来の事象や取り掛かる作業に掛かる時間の推定は「予想時間評価」と呼ばれ、この認知機能の神経基盤は明らかではない。ヒトの脳深部にある「海馬」は、過去から現在までの経過時間を扱うだけでなく、将来起こる事象の推定も担うことが報告されており、海馬が予想時間評価にも関わっている可能性が示唆される。そこで本研究は、侵襲的・非侵襲的脳活動計測法・神経心理学的検査を用いて、予想時間評価における海馬機能の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
予想時間評価とは将来の事象や取り掛かる作業に要する時間を推定する認知機能である。しかし、この認知に対する海馬の関与は不明だった。これを明らかにするため、本研究では、ヒトの海馬活動の機能的磁気共鳴画像計測(fMRI)と皮質脳波計測(ECoG)を行った。さらに難治性てんかん患者の頭蓋内に留置した電極を介した電気刺激による海馬活動への介入、てんかんの外科的治療法である海馬多切術を受ける患者の手術前後の時間推定行動の変化を調べた。その結果、予想時間を反映する海馬活動を発見しただけでなく、海馬への外科的介入による予想時間が変化することが判明した。これは海馬が予想時間評価の機能を担うことを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果から海馬が過去の情報を処理するだけでなく、将来の事象や取り掛かる作業に要する時間の推定する機能もあることが明らかになった。これは海馬が関与する認知機能の従来の知見を拡張するだけでなく、臨床的な意義も非常に大きい成果である。例えば、注意欠陥・多動性障害(ADHD)等の発達障害や海馬が萎縮するアルツハイマー病患者は、時間の見積もりが甘く、日常の適切な時間管理ができない症状が生じる場合がある。これまでは誤った時間見積もりを正す習慣の指導等が主な対症療法であった。本研究の成果から、予想時間評価に支障が出てしまう症状に対して、海馬の機能に着目した新たな診断法や治療法の開発が期待出来る。
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