研究課題
若手研究
細胞凝集塊の局所に,化学的,機械的な刺激を加える,マイクロ流体プローブを開発する.申請者らが報告済みのプローブをベースに,イオン電流によりプローブの位置を精緻に制御し,実現する.2019年度にプローブ制御に関する設計,システムの構築,動作検証を行い,2020年度に構築したシステムを用いたマウス胚性幹細胞を対象に,局所的な分化誘導の可否を検証する.
本研究は,部位特異的な分化誘導を実現するマイクロ流体プローブの創出を目的とした.イオン電流により探針の位置制御を行い,細胞凝集体に対し正確に探針を配置できた.マイクロ流体プローブを用いた核染色試薬の局所投与により,細胞凝集塊の細胞核の局所染色が可能であった.オルガノイド内部の構造体の検出を目指し,モデル深部の血管の位置検出を検討した.イオン電流値を指標として,血管の位置の特定,形状を可視化した.さらに,探針内の油水界面を制御し,モデル深部から細胞質を回収し,遺伝子発現の定量評価が可能であった.以上,イオン電流を指標とし,探針の位置制御,局所刺激,モデル内の構造体の検出,さらに回収を実現した.
近年の幹細胞研究は,臓器の一部を模した”ミニ臓器”の作出を可能とし,これらは,“オルガノイド”と呼ばる.しかし,既存のオルガノイドは,幹細胞への,一様な薬剤の添加で,分化が誘導されており,空間的な分化制御は殆ど行われていない.事実,既存のディッシュ培養では,分化が非効率で,バッチ毎のバラつきが課題となっている.本研究で開発した,イオン電流を指標とした探針の位置制御,局所刺激,構造体の検出,回収技術は,局所的な分化誘導,分化評価に応用可能である.探針による局所的な分化制御,分化機能評価という新たな手法の提案により,オルガノイドの分化を人工的に制御する新たな知見が得られることが期待できる.
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (81件) (うち国際学会 26件、 招待講演 6件) 図書 (2件)
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