研究課題/領域番号 |
19K20714
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉留 郷志 九州大学, 大学病院, 診療放射線技師 (70419612)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 乳がん転移予測システム / Radiomics特徴量 / TCIA / 乳癌転移診断システム |
研究開始時の研究の概要 |
近年,乳がんは早期発見・早期治療が可能となり,比較的予後の良いがん腫となっている.予後には腋窩リンパ節に転移がある症例に対しては手術の際に腋窩リンパ節郭清を行うことが推奨されている.ただし,手術までに組織診断による確定診断がされておらず医用画像や生理検査などの結果からリンパ節転移が無いだろうと判断された症例は,手術中にセンチネルリンパ節生検を行い,リンパ節転移の確定診断を行った上でALNDの追加が判断される.手術前に医用画像や臨床情報からリンパ節転移の有無を高精度に判断することができれば,侵襲を伴うセンチネルリンパ節生検を省略することができ,患者の負担を軽減することが可能となると考えられる.
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研究実績の概要 |
本研究は,乳がんにおけるリンパ節転移の有無を医用画像や臨床情報を元にしてRadiomics 技術を用いて予測するシステムを開発することで手術支援を行うことを目的としている.研究代表者は,先行研究として,公開されているがん患者データベース (The cancer image archive: TCIA) のMRI 画像とセンチネルリンパ節生検結果を6症例用いて,Radiomics 特徴量の抽出と解析を行った.その結果,Radiomics特徴量の一つである「Complexity」とリンパ節転移の有無に関係性があることが示唆された. 現在,先行研究と同じくTCIAの20症例に対して提案手法を適応した.TCIAでは提供されていない3次元的な腫瘍の輪郭や形状に関する情報も作成した.その上で,各症例に対するRadiomics特徴量を抽出するプログラムを作成し,解析する環境を構築した.構築した環境において,研究代表者は486のRadiomics特徴量を抽出し,それらの統計解析から有意差のある特徴量を3つ特定した. この分野の研究において20症例という症例数は十分とは言えない.そのため,更に多くの症例に対して特徴量抽出と統計解析を行い,有用で頑健な特徴量を特定する必要がある.症例数を増やすことによって特徴量の差異が明確になると考えられる.更に,現在はMRI画像の中でも造影剤を用いた脂肪抑制T1強調画像のみを用いているが,通常臨床におけるMRI画像の読影には複数のタイプのMRI画像 (脂肪抑制 T2 強調画像,拡散強調画像,ダイナミック造影画像など) が用いられるため,本研究においても複数のタイプのMRI画像からRadiomics特徴量を抽出して用いることが必要である.これらの特徴量を用いて識別器を作成することで,非侵襲的な乳がんのリンパ節転移予測システムを構築できると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在,先行研究と同じくがん患者データベース (The cancer image archive: TCIA) に公開されている20症例に対して提案手法を適応した.TCIA のデータベースには画像やリンパ節転移の有無などの臨床情報は公開されているが,腫瘍の輪郭や形状に関する情報は提供されていないため,各症例に対してそれらを規定する必要がある.研究代表者は各症例に対して,3次元的に腫瘍の形状や輪郭情報を作成した.その上で,各症例に対するRadiomics特徴量を抽出するプログラムを作成し,解析する環境を構築した.構築した環境において,研究代表者は486のRadiomics特徴量を抽出し,それらの統計解析から有意差のある特徴量を3つ特定した.
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今後の研究の推進方策 |
現在,がん患者データベース (The cancer image archive: TCIA) に公開されている20症例に対してRadiomics特徴量の抽出と,それらの統計解析を行ったが,この分野の研究において20症例という症例数は十分とは言えない.そのため,更に多くの症例に対して特徴量抽出と統計解析を行い,有用で頑健な特徴量を特定する必要がある.症例数を増やすことによって特徴量の差異が明確になると考えられる.更に,現在はMRI画像の中でも造影剤を用いた脂肪抑制T1強調画像のみを用いているが,通常臨床におけるMRI画像の読影には複数のタイプのMRI画像 (脂肪抑制 T2 強調画像,拡散強調画像,ダイナミック造影画像など) が用いられるため,本研究においても複数のタイプのMRI画像からRadiomics特徴量を抽出して用いることが必要である.これらの特徴量を用いて識別器を作成することで,非侵襲的な乳がんのリンパ節転移予測システムを構築できると考える.
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