研究課題/領域番号 |
19K20765
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補助金の研究課題番号 |
18H05554 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
辻 絵理子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (40727781)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ビザンティン美術 / 写本挿絵 / 詩篇 / 聖堂装飾 / 西洋中世美術史 / 西洋中世美術 / ビザンティン美術史 |
研究開始時の研究の概要 |
ヴァティカン図書館所蔵ギリシア語写本1927 番は、旧約聖書の『詩篇』を本文とし、100以上の豪華な図像を有する、12 世紀前半に制作されたとされる写本である。ビザンティン世界の詩篇写本には、旧約聖書である本文に対し、本文に記されない他の典拠に基づく挿絵を描く複雑な機能を持つ作例があるが、1927 番もまた他に類例のない多様な挿絵を持っている。本研究は、同写本に描かれた、詩篇著者とされる旧約の王ダヴィデが登場する箇所を中心に、同写本の全体像を明らかにするための基礎研究を目的とする。
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研究成果の概要 |
ヴァティカン図書館所蔵ギリシア語写本1927番(以下「1927番」)は、旧約聖書の『詩篇』を本文とし、テキストの間に100以上の豪華な図像を有する12世紀前半に制作された写本である。ビザンティン世界の詩篇写本には旧約聖書である本文に対し、新約聖書や他の典拠に基づく挿絵を描く複雑な機能を持つ作例があるが、1927番もまた、他に類例のない多様な挿絵を持っている。本研究は、1927番に描かれた、詩篇著者とされる旧約の王ダヴィデが登場する箇所、及び新約聖書の物語図像を中心に、他に類例のない同写本の全体像を明らかにする試みである。同写本に焦点を絞った総合的な研究は、本研究計画が世界で初めてのものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで系統立てた分析が行われてこなかった1927番の、キリスト伝と旧約物語場面が関連付けられて表象されている箇所を、写本本文および図像に関連するテキストと併せて分析、検討した。具体的には、旧約聖書と新約聖書の内容を、挿絵によって関連づけている箇所を明らかにすることで、中世における正教圏の神学的解釈を実証的に検討した。これは既に滅びてしまった国が遺した一冊の書物に過ぎないと思われるかもしれないが、カトリックとイスラームの狭間で千年間存続した帝国の思想の一端を探る具体的な研究である。
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