研究課題/領域番号 |
19K20772
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補助金の研究課題番号 |
18H05562 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福谷 彬 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (40826004)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 朱熹 / 綱目 / 正統 / 道統 / 朱子 / 通鑑綱目 / 南宋 / 諸葛亮 / 正統論 / 朱子学 / 経書解釈 / 通鑑 / 道学 / 資治通鑑綱目 |
研究開始時の研究の概要 |
重要性が指摘されておりながら、これまで等閑視されたきたところの、朱子学の歴史哲学としての側面を、朱子本来の思想と後世の朱子学という二方面から解明することが本研究の目的である。 具体的には、南宋の朱子が記した歴史書である『綱目』と後世に『綱目』を尊んで著された「綱目学」の書物(『綱目』の注釈や『綱目』の体裁を模倣した歴史書)の思想分析を主たる作業とする。その際に、春秋学や朱熹の修養論・心性論といった、申請者が多くの成果を挙げてきた分野での業績を縦横に駆使しして、朱熹自身の問題意識に即して正面から『綱目』の思想を分析したいと考えている。
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研究成果の概要 |
朱熹『綱目』の正統論を理解するには、朱熹と同時期の広義の道学者を視野に入れる必要がある。彼らは、軌を一にするように、蜀漢正統論と諸葛亮礼賛の文章を残していたからである。 特に、湖南学の張南軒は『諸葛武侯伝』という諸葛亮の伝記を残す。張南軒が鼓吹する諸葛亮の「漢賊並び立たず」とする精神こそが、蜀漢正統論の淵源であり、張南軒が特筆大書し、また朱熹へと受け継がれた点なのである。 また、一時期朱熹は諸葛亮を「道統」上の人物としてすら位置づけようとしていた。後世混同される傾向のある道統論と正統論とは、朱熹の段階ですでに、接近していたと言える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来、蜀漢正統論は、国土の大半を奪われた南宋士大夫が、同様の状況の蜀漢に自らの王朝の状況を重ねたと理解されてきた。本研究では、同時代の多くの士大夫、特に道学系統の士大夫が、蜀漢に対する同情的な見解を多く有していたことを明らかにした。蜀漢贔屓論者の間でよくみられる共通点は、丞相・諸葛亮に対する自己投影である。それは、皇帝の権威に対し指導的な姿勢で接し、また文官でありながら軍功を挙げた諸葛亮の姿に、宋代士大夫官僚の理想形を見たのである。このように、南宋に、蜀漢正統論が生じたことの新たな側面を明らかにした。
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