研究課題/領域番号 |
19K20774
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補助金の研究課題番号 |
18H05564 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川野 惠子 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (40639853)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 身体言語 / 像理論 / 感性的認識 / ディドロ / メネトリエ/メネストリエ / 視覚言語 / 演劇 / ヒエログリフ / 言語論 / 身体 / 像/イメージ / 表徴 / メネストリエ/メネトリエ / メネトリエ/メネストリエ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、17世紀メネストリエと18世紀ディドロの哲学において、身体言語の問題に取り組んだ劇論が、ともに感性的認識を主題とする「像(image)」理論の一つを成していたことに着目する。これまで劇における身体言語の興隆の背景として、修辞学復興ないし言語起源論が言及されてきた。しかしこれらの観点において身体言語は、抽象観念の正しい伝達を到達点とする知性主義言語活動の副次的存在にすぎない。本研究はむしろ、像理論の視点から、身体言語に固有の機能が積極的に評価されていたことを明らかにする。これにより、この時代の身体言語論において、知性主義に包摂されない新たな言語機能が探求されていたことを指摘する。
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研究成果の概要 |
17-18世紀フランス演劇における身体言語の理論化をリードしたメネトリエとディドロは、それぞれ独自の像理論の一部として演劇論を展開したという共通点に着目し、両者を連続的に考察することで、身体言語論の新たな文脈に光を当てること試みた。メネトリエにおいては「表徴」概念、ディドロにおいては「ヒエログリフ」概念に認められるとおり、両者の像理論に共通しているのは、原像と模像の差異を見抜く、あるいは像の表象対象そのものを感覚するといった観者の能動性に焦点を合わせた点である。身体像を言語とする身体言語論へ寄せた両者の関心の背景には、言語の話者と受け手のより相互的なコミュニケーションの追求が認められる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
17-18世紀フランス演劇における身体言語興隆について、同時代の言語起源論や古代修辞学復興などのこれまで指摘されてきた思想的背景に加え、本研究は演劇領域それ自体において身体言語の問題に取り組んだメネトリエとディドロという二人の思想家の理論を検討することで、言語コミュニケーションにおける話者と受け手の相互性の追求という新たな文脈を指摘した。以上の成果は、ダンスによって物語ること、あるいは創造性と開かれた解釈に価値を置く芸術作品に特異な言語活動について解明する一助となる。
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