研究課題/領域番号 |
19K20796
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補助金の研究課題番号 |
18H05587 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
松原 文 (松原文) 立教大学, 文学部, 助教 (70827245)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ドイツ文学 / 中世文学 / アーサー王物語 / ガーヴァーン / 聖杯物語 / 宮廷文学 / 騎士 / パルチヴァール / ドイツ中世文学 / ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ / クレティアン・ド・トロワ / 中世ドイツ文学 / 騎士道 |
研究開始時の研究の概要 |
「アーサー王物語」は13世紀初頭、古仏語作品からの翻案によりドイツ語圏に導入された。13世紀半ば以降は、いわゆる「古典」作品の持っていた作品構造は崩され、韻文から散文への流れも見られる。形式の変化と同時に内容も変容し、騎士の自己陶冶とアーサー王宮廷の繁栄への収斂性はなくなり、奇想天外な冒険が繰り返される。本研究は、ヴォルフラムの『パルチヴァール』が後代の詩人たちに新たな取り組みの一つの足掛かりとなったと考え、作品間の比較を行う。個性の誕生という切り口で人物像を、受容者の意識変化という切り口で諧謔性を分析する。
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研究成果の概要 |
中高ドイツ語のアーサー王物語の諸作品は13世紀初頭にフランス文化の受容によって生まれるが、その後はモチーフの借用や再編成で独自の発展を遂げる。本研究は『パルチヴァール』と、1970年代まで「古典」の模倣作品と評された『王冠』を主な対象とし、ガーヴァーンの人物造形と美徳概念「誠実(triuwe)」に関する表現を分析した。その結果、『パルチヴァール』を転回点として作品世界の価値が多元化し、自律的な人物像が現れたことがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
騎士の美徳は中世ドイツの宮廷文学の主題であるが、その概念研究は、過度の一般化や、推測が先行する循環論法が反省された結果、近年は空白傾向が続いた。本研究は「誠実(triuwe)」という語の用例分析を出発点として、「古典」以降の作品において価値が宮廷世界から解放され多元化したことの一端を明らかにした。これは『パルチヴァール』以後に作品構造や人物造形における伝統からの脱却が見られることと軌を一にするもので、既存研究を新しい角度から補完した。
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