研究課題/領域番号 |
19K20807
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補助金の研究課題番号 |
18H05600 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩崎 華奈子 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (30822887)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 封神演義 / 版本 / 出版 / 周之標 / 馮夢龍 / 戯曲 / 中国古典小説 / 出版文化 / 明末清初 / 挙業書 / 尺牘 / 明代 / 白話小説 / 明清小説 / 中国古典文学 / 校勘 / 小説 |
研究開始時の研究の概要 |
中国の明代末期に成立したと考えられる小説『封神演義』について、以下の観点から調査・考察を行う。 ①主要な版本5 種を対象に校勘を行い、各本の特徴を明らかにする。また改訂や節略の状況から本文の継承関係を考察し、版本系統を整理することで文学研究の基礎を固める。 ②出版者の調査、および5種の版本の出版形態や改訂等の状況を分析することで、『封神演義』の出版背景(誰に・どのような経緯で・いかなる読者層を想定し刊行されたのか)を明らかにする。これは個別の作品研究にとどまらず、当時の小説の制作背景や受容の一例を示すという点で重要な意義を有する。
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研究成果の概要 |
(1) 版本間の継承関係の解明:『封神演義』の主要な版本について校勘を行い、その関係性を考察した。その結果、従来四雪草堂本と呼ばれ一括りにされていた清籟閣本・本衙蔵板本・濱文庫本は各々特徴を有し、それぞれ未発見のテキストから派生、あるいは参照した可能性があることを指摘した。 (2)『封神演義』出版背景の考察:『封神演義』序文撰者の周之標は、万暦44~順治10年(1616~1653)の間、蘇州を中心に戯曲・散曲集や科挙受験参考書の編纂者として活動していたことが判明した。またその序文の主旨は、本小説に描かれた殷周革命の物語から明代末期の現実的社会問題を想起し、論じるものであると結論づけた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
『封神演義』の主要版本について、本文の精密な検討と版本間の関係を概ね明らかにしたことで、本小説の文学的研究の基礎を固めることができた。また、周之標序の精読や撰者の事績調査を通して、刊行の時期・場所を推定し得たことは本小説の成立過程の研究において重要な成果と言える。加えて当時の出版者・読者が本小説をどのように捉えていたかを考察した点は、明代末期に隆盛した通俗白話小説の出版と読書態度の一例を示すものである。
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