研究課題/領域番号 |
19K20810
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補助金の研究課題番号 |
18H05603 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
佐藤 恵 獨協大学, 外国語学部, 専任講師 (50820677)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ドイツ語史 / 歴史社会言語学 / 歴史語用論 / 言語の標準化 / 言語規範 / .ドイツ語史 |
研究開始時の研究の概要 |
ドイツ語圏南東部においては18世紀中葉以降に、ウィーンの東上部ドイツ文章語が声望を失い、東中部ドイツ語型の標準文章語に切り替わっていった。本研究は、東上部ドイツ語圏出身のモーツァルト家の人々が1755年から1857年まで三世代にわたり書き綴った書簡文(約60万語)をデータとして、言語の標準化のプロセスに言語意識史の観点からアプローチする。標準形と方言形の書き分けにどのような社会言語学的・語用論的変数(教養の程度や世代、書き手と受け手の親疎関係、書簡の趣旨等)が関与していたのかを、書簡文から読み解く。
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研究成果の概要 |
研究代表者自身が作成した「モーツァルト三世代書簡60万語データ」をもとに、2018年度は量的分析を、2019年度には質的分析を行った。その結果、次のことが判明した。父レオポルトは高い教養のあった人物で、標準ドイツ語をほぼ毎回使用したのに対して、教養が高いわけではなかった母アンナは上部ドイツ語的方言形を家族内で最も多く使用した。父から直接に教育を受けたモーツァルトと姉ナンネルも、基本的に標準ドイツ語を用いた。父と姉の場合、手紙の受け手が家族であるときに上部ドイツ語的方言形が多く確認される。それに対してモーツァルトの場合は、方言の使用頻度は手紙の受け手が家族のときも家族以外のときも変わらない。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
父レオポルトのドイツ語が標準文章語に最も近いのは、教育の程度の違いに由来すると考えられる(社会言語学的変数)。ただし、父レオポルトも、書簡の内容や文通相手によって非標準的な東上部ドイツ語的異形を交えて書いている(語用論的変数)。標準形と方言形の書き分けに上記のような社会言語学的・語用論的変数(教養の程度や世代、書き手と受け手の親疎関係、書簡の趣旨等)が関与していたことを、当時の書簡文から読み解くことができた。さらに、モーツァルト家三世代の書簡文を分析することで、18世紀中葉以降、東上部ドイツ文章語から東中部ドイツ語型の標準文章語に切り替わっていくプロセスを個人の言語使用に見て取ることができた。
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