研究課題/領域番号 |
19K20832
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補助金の研究課題番号 |
18H05626 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 立教大学 (2019) 明治学院大学 (2018) |
研究代表者 |
清水 美里 立教大学, 経済学部, 助教 (70785550)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 台湾 / 水資源 / 植民地 / 河川 / 水利 / インフラストラクチュア / 公共財 / 近代 / 台湾史 / 社会資本 / 港湾 / 近代史 |
研究開始時の研究の概要 |
旧植民地地域のなかには、植民地時代に整備されたインフラ設備を脱植民地化後も使い続けていることがあるが、その歴史認識は錯綜状況にある。植民地のインフラ設備はその「公共」の内容にいくつもの留保がつけられた。これに対し、被支配民族側もインフラ設備を自分たちのものにすべく訴え、動いた形跡がある。本研究は申請者のこれまでの研究で用いていた「植民地的開発」という概念を発展させ、植民地のインフラ設備の整備において植民地的特質がどのように現れるのか、植民地台湾の港湾・河川整備の事例において明らかにする。その際、インフラ設備をめぐる植民地権力と被支配民族の多様な応答・応酬を分析する。
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研究成果の概要 |
本研究は植民地のインフラ開発の特色が「公共」概念の多義性にあると考え、植民地台湾の港湾・河川事業を事例に分析を行ったものである。というのも公共財となりうるはずのインフラ設備は、植民地下では「公共」の内容にいくつもの留保がつけられた。時には、「公共」のものとされないほうが被支配層である台湾人にとって望ましいとされる事例がみられた。なぜ被支配層は「公共」を拒絶するのか、水資源における「公水」と「私水」の論争を手掛かりに明らかにした。そして、台湾人が植民地権力と交渉するために、水資源が「私」の領域にあると訴えていたことが分かった。資料としては、当時の裁判資料、行政資料、雑誌・新聞記事などを用いた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は水資源開発史と植民地史に新たな知見をもたらすことにある。水資源開発は水運、治水、水利、水道など別々に議論されることが多いが、本研究はそれらを総合的に捉える重要性を示した。植民地史においては「公水」・「私水」という概念の議論を分析することで、民族間の水文化の違いと植民地支配の矛盾の絡み合いを明確に示すことができた。 本研究の社会的意義は、旧植民地と宗主国とも重なる現代の各国間の開発援助・技術移転におけるよりよい関係構築に寄与する点にある。というのも、本研究が明らかにした問題は、現代の開発援助・技術移転においても生じる可能性が充分にあり、それらの問題解決に資するものだからである。
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