研究課題/領域番号 |
19K20864
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補助金の研究課題番号 |
18H05660 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
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研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
阿部 理香 九州国際大学, 法学部, 助教 (20829460)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 労働法 / 安全配慮義務 / 精神疾患 / 労働安全衛生 / フランス / 精神疾患・障害 / 補償 / 予防 / 従業員代表制度 / 補償と予防 / 労働災害、職業性疾病 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、情報通信技術の発展に伴う労働の質的変化により顕在化した職場のメンタルヘルスの問題について、精神疾患・障害のように個別性が高く外形的に把握の困難な新たな職業性リスクについては、労働者が自らの健康・安全の予防のアクターになることが肝要であるとの問題意識のもと、労働者の積極的な関与の在り方を労働法的観点から検討しようとするものである。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、作業関連ストレスに起因する精神疾患・障害を抱える労働者の法的保護として、補償の場面における法理が予防にどのように反映しうるかを検討することであった。使用者が講じるべき措置は、安全義務違反にもとづく損害賠償訴訟から具体化され、それが間接的に予防法理にも影響を与えうる。また、産業医のさらなる関与や安全衛生委員会等による集団的健康確保システムの充実は、使用者に把握困難な精神疾患の予防の実効性を高めうる。しかし、賠償法理から発展した安全配慮義務法理を、予防の局面に直接反映させることには限界があり、本研究課題をさらに推し進めるためには契約論的検討が不可欠であることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
精神疾患・障害は業務上と私傷病の交錯領域であり、外形的に把握が困難なことから、使用者がその責任を負うべきことが本則であるとしても、その実効性を高めるためには各アクターによる分担的関与が重要である。そのため、集団的視点を踏まえた検討には一定の学術的意義と社会的意義があったと思われる。しかし、賠償法理から発展した安全配慮義務を根拠に労働者が予防的権利行使として使用者に同義務の履行請求等をすることは、解釈論上の限界があり、労働者が自らの健康・安全のためにリスクが現実化していない段階で、予防のアクションをなしうるには契約論的検討が必要である。残された課題は、継続して検討を行う。
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