研究課題/領域番号 |
19K20907
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補助金の研究課題番号 |
18H05710 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 (2019) 大阪産業大学 (2018) |
研究代表者 |
小林 和夫 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (00823189)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | グローバル経済史 / 西アフリカ / 18世紀 / 19世紀 / グローバル化 / 貿易 / 綿布 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、18-19世紀の近代世界経済の形成過程における西アフリカの役割に注目して、従来のアフリカ経済史・世界経済史のなかで強調されてきた従属論的解釈とは異なる歴史像を構想することを目的としている。 具体的には、まず、貿易統計や同時代刊行物などに基づいて、同地域における奴隷貿易、一次産品の生産・輸出及び欧米・アジア商品に対する需要を明らかにする。また、先行研究に基づいて、東アフリカの状況と比較を試みる。そのような作業を通じて、生産・流通・消費における西アフリカの人々のエージェンシーの特徴をグローバル経済との相互作用のなかで究明し、その一方で、西アフリカ経済の史的発展パターンの解明を進める。
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研究実績の概要 |
本研究は、18-19世紀の西アフリカ経済とグローバル経済の相互作用について、綿布貿易の分析を中心として、生産者と消費者の主体性を明らかにしようとする試みである。その対象時期の19世紀半ばまでについては、過去の科研費プロジェクト等でデータ収集を進めてきたため、本年度は、主に(1)19世紀後半の統計データ収集と(2)先行研究の渉猟を行った。 (1)の成果については、2019年2月に英国の国立公文書館を訪れて、Customs 8シリーズ(英国産品の輸出統計)とCustoms 10(外国産品・植民地産品の輸出統計)を集中的に収集した。収集したデータを申請者が所有しているデータと付き合わせたところ、19世紀を通じたイギリス綿布の西アフリカへの貿易動向が、品種別・地域別で明らかにすることができた。イギリス綿布貿易の総量(イギリスから西アフリカ)については、ベルリン会議(1884-85年)直前まで成長を続けていたことを確認した。また主要な貿易地域としては、1860年代半ばまではナイジェリア、1860年代後半は黄金海岸での取引規模が大きく伸び、1870年代末からポルトガル領アフリカ、1890年頃から仏領アフリカへの貿易領が伸びたことを数量的に明らかにした。インド綿布の貿易動向(イギリスから西アフリカ)については、貿易の伸び悩みが目立っていたが、1880年代から貿易統計の記載事項の変化のため、データが得られなくなることも確認した。 その一方で、(2)先行研究から学んだことも踏まえて、2019年2月21日にオランダ・ユトレヒト大学の経済社会セミナーにて研究発表を行い、経済史研究者と意見交換を行う機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた史料調査を通じて、イギリスの貿易統計からイギリス綿布の貿易動向を収集することができたことに加えて、ユトレヒト大学でのセミナー発表を通じて、今後詰めていくべき課題を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の研究方針は、大きく2点にまとめられよう。 (1) これまでの研究活動と今回の研究成果を踏まえた成果を英文単著としてまとめる。本研究成果については、終章の議論に反映される予定である。 (2) 19世紀のイギリス綿布の貿易動向については、20世紀初頭のデータを10年分ほど重ねることによって、より正確な理解に至ることができると考えられる。そのため、2019年度の夏に実施予定の史料調査では、当初の予定をやや拡張して20世紀の貿易データも収集する。また、量的な貿易動向の変化の背景にあった要因を先行研究や質的史料と重ね合わせることによって解明することを試みたい。その成果については、論文あるいは学会・研究会等で発表を試みる。
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