研究課題/領域番号 |
19K20917
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補助金の研究課題番号 |
18H05720 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
阿川 千尋 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (40825288)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 無料低額診療事業 / 無低診療 / 生活困窮者医療 / 第2種社会福祉事業 / 第2種社会福祉事業 / 無料低額事業 / 困窮者医療 / 社会福祉事業 / 医療扶助 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、社会福祉事業法(現在、社会福祉法)に規定された第二種社会福祉事業「無料低額診療事業」が、医療保障制度が確立した現代になぜ必要とされているのかを問うものである。 研究目的は二つあり、一つは、戦前の施療に起源をもつ無料低額診療事業が、戦後の社会福祉制度改革の中でいかにして存続してきたかを、厚生労働省における政策変更の画期に着目し検討することである。二つ目は、医療保障体制が整備されていく中で、同事業がいかに変遷したか、利用の実態調査から明らかにすることである。 無低診事業という社会福祉事業の歴史と現状の分析により、受療困難者・生活困窮者を包摂する医療保障制度を考えていく。
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研究成果の概要 |
戦前の施療の系譜にある「無料低額診療事業」は、戦後社会福祉事業に規定されたが、医療保障制度が充実すれば縮小・廃止する位置づけであった。 1950年代半ば、生活保護法上の医療保護施設と共に、医療扶助適正化の文脈で整理され、無料低額診療事業に医療保護施設の機能が「吸収」された。この産物として、同事業の事業基準における利用者計算に生活保護患者が繰り入れられた。その後も無低診療事業は、縮小や廃止が試みられるも実現しなかった。 現在も、他のいかなる公的制度にもつながらない受療困難者に利用されているが、医療保障制度や生活困窮者支援制度における役割は限定的であることを指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
社会的認知度の低い無料低額診療事業について、先行研究で明らかにされていない社会福祉事業の歴史を史料実証的に述べ、特に今日の無料低額診療事業制度が持つ課題の根源が、すでに1950年代にあったことを指摘した。 さらに、現実として無料低額診療事業が果たしている役割について意義を見出すとともに、その役割はあくまでも限定的であること、現在の医療体制で取り残される受療困難者への対策として、まずは、医療保険と生活保護制度の不備・不徹底を改善する中で、保護に至らない生計困難者に医療を提供する社会福祉事業としての位置付けを、医療保障全体で再構築することが必要、という示唆が得られた。
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