研究課題/領域番号 |
19K21010
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補助金の研究課題番号 |
18H05818 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
石川 遥至 早稲田大学, 文学学術院, 助教 (60822955)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2018年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 気晴らし / 注意の分割 / 反すう / 心理学的介入 / 注意 / 抑うつ / 反応スタイル / 注意制御 |
研究開始時の研究の概要 |
気分の落込みや不安を解消する方法として広く行われる方法に、「気晴らし」がある。気晴らしは不快な気分の原因となった出来事や思考から注意を背けることで早期に気分を改善する。しかし、気晴らしは問題を回避するために本質的な解決を妨げること、気晴らしの後には再び落込み・不安のサイクルである「反すう」に陥ってしまうリスクがあることが指摘される。 そこで本研究は、こうした気晴らしの長期的なデメリットを改善すべく、意図的に不快な問題について想起しながら無関連の作業を行うという「注意分割気晴らし」を開発し、その効果を様々な側面から検証することを目的としている。
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研究成果の概要 |
ネガティブな持続的思考(反すう)は不快な対象への過剰な注意集中に起因すると考えられ,一般的には気晴らしによる対処が有効とされる。ただし,気晴らしによる思考の回避や抑制が長期的には不適応的に機能することも指摘される。そこで本研究は,不快な思考と気晴らし課題を同時に行う注意分割気晴らしの効果を検討した。 不快な思考を抑制しようとする気晴らしは短期的には気分の改善に有効であるものの,長期的には抑うつの上昇や反すう時の気分の悪化を招くことが示唆された。一方,注意分割気晴らしは不快な対象への注意集中を防ぎ,ネガティブな思考を緩和することで,長期的な反すうの改善につながる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来,気晴らしの有効性の中核は不快な対象から注意をそらすことと考えられてきた。しかしながら,不快な思考に向き合わないことで起こる問題や,気晴らしの実行が困難な場合があることは既に指摘されており,この点は気晴らしの効果の限界として捉えられていた。本研究からは,不快な対象から注意をそらすことを意図しない気晴らしが一定の効果を有し,上記の問題点を解決しうるものであることが示唆された。この知見は,気晴らしに含まれる新たな効果機序に焦点を当てるものであり,この情動制御方略の日常での適用性,有効性の向上に資する可能性があるものであるといえよう。
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