研究課題/領域番号 |
19K21040
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補助金の研究課題番号 |
18H05855 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0202:物性物理学、プラズマ学、原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
山本 慧 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (10746811)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | スピン波 / 磁性薄膜 / 磁性体 / 強誘電体 / 表面音波 / スピントロニクス / 磁性絶縁体 |
研究開始時の研究の概要 |
磁気の波(スピン波)は単純な電気信号よりも多くの情報を低エネルギーで運ぶ事ができるため、情報機器の性能向上に向けた基礎現象として注目されている。応用上特に重要なのは磁気の波と電気信号の変換機構である。絶縁体中の磁気の波は金属中よりさらにエネルギー消費が小さいため省エネルギー化の役に立つ可能性があるが、電気信号への有効な変換機構はこれまでのところ知られていない。本研究はミクロな電子物性とマクロな対称性についての考察を組み合わせて絶縁体中での磁気の波と電気信号の変換機構を提案することを目標とした研究計画である。
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研究成果の概要 |
本研究では磁性体中を伝搬する磁気揺らぎの波「スピン波」の性質が、材料における空間反転対称性の破れ(鏡に映した際に元の姿と同じにならない性質)によってどのように変化するかについての理論的研究を行い、複数の新現象のメカニズムを解明した。当初計画したスピン波によって絶縁体中に電気分極を誘起する研究は未完成に終わったが、それに深く関連した強誘電基板(自発的に電気分極を持つ絶縁体)と磁性薄膜の多層系でスピン波が一方通行性を獲得したり伝播距離を大幅に向上したりする現象を新たに発見し、その理論的記述を確立する成果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピン波は金属だけでなく絶縁体中も伝搬し、かつ磁気的な自由度であるスピンに情報を担うことができるため、情報処理技術において従来の金属や半導体を用いたエレクトロニクスでは実現できない機能を実現させるための基礎現象として注目されている。本研究成果によって明らかにされたスピン波の一方向伝搬性や長距離伝搬性は、スピン波をマイクロ波信号処理に用いるためには不可欠となる要素であり、新しい物理現象の開拓という学術的価値と将来の技術応用に向けた機能性向上の両面で意義を持つ。
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