研究課題/領域番号 |
19K21157
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補助金の研究課題番号 |
18H06017 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0603:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小田 あゆみ (小田あゆみ / 田中 あゆみ) 信州大学, 学術研究院農学系, 助手 (40571609)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 窒素同位体比 / 山岳地域 / 気候変動 / 硝酸態窒素 / 温暖化 / 窒素源 / 成長速度 |
研究開始時の研究の概要 |
温暖化により様々な生態系で植物の重要な養分である窒素の量や化学形態が変化している。日本の山岳地域の森林でも土壌中の窒素の状態が変化していくと考えられ、それにより森林の成長や種構成がどのように変わっていくかを予測する必要がある。この研究では、山岳地域で過去50年分の樹木の成長速度が明らかな調査地を用い、樹種ごとに利用している窒素源を明らかにし、温暖化で衰弱しやすい樹種と、反対に成長が旺盛になる樹種を予測できるようにする。この研究により、山岳地域が温暖化した場合の森林の姿をより精度よく予測できるようになる。
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研究成果の概要 |
本研究では、標高の異なる3地点で土壌中の窒素量と樹木の成長速度データを解析し、温暖化により標高の高い森林の気温が上がった場合に土壌中の窒素と樹木の成長がどう変化するかを調べた。本研究の調査地では、標高が高いほど有機物分解過程の初期に生成されるアンモニア態窒素の割合が高く、土壌中の窒素量も多かった。標高が低い森林では、分解が進んだ形態である硝酸態窒素の割合が増加し、樹木も硝酸態窒素を利用していると考えられた。今後、温暖化が進行した場合、標高の高い森林でも有機物の分解が進み、森林の成長量は増加する可能性がある一方で、樹木種間の土壌養分に対する競合関係も変化すると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は、温暖化の影響を受けやすいと考えられながらも、これまで調査が行われていなかった山岳地域の森林生態系において、土壌中の養分状態の変化が森林の成長量とどのような関係があるかを明らかにした点である。これにより、高標高地域では土壌中に有機物の蓄積があるものの分解が進まないこと、温暖化により分解が促進されると、従来存在していた窒素形態が変化し、その変化に順応できない樹種が存在する可能性を示した。このような養分吸収における樹種特性を理解することは、温暖化による森林生態系の変化を予測するために重要である。
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