研究課題/領域番号 |
19K21190
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補助金の研究課題番号 |
18H06066 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金 尚宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (80822931)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 概日時計 / 温度シグナル / 温度補償性 / 概日リズム / 化合物 / 体温測定 |
研究開始時の研究の概要 |
概日時計分野における最後に残された課題は、まぎれもなく温度補償性の謎である。温度補償性とは、生物時計の周期が生理的な温度範囲においてほぼ一定である性質を指す。申請者はこれまでの研究から、温度補償性メカニズムには新規の温度応答性シグナリングが重要であることを見出し、そのシグナリングを制御する低分子化合物TC-1およびTC-2を同定した。本シグナリングはリズム機能の制御に特化した経路ではなく、低温ストレスに対する細胞保護などの応答にも深く関わっていると考えられる。本研究の目的は、リズム機能の制御を担う新規の温度応答経路を明らかにすると同時に、哺乳類における低温応答メカニズムを解明することである。
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研究成果の概要 |
概日時計は約一日周期の体内時計である。この時計の重要性質として、環境温度が変化しても周期は一定という温度補償性がある。本メカニズムの解明のため、細胞時計の温度補償性に影響する低分子化合物を探索した。その結果、TC-1、TC-2という化合物が温度補償性を大きく阻害することを見出した。これら化合物は同じシグナル伝達 (TCシグナル)上で機能することを見出した。さらに、TCシグナルは温度補償だけでなく、自律振動にも重要であることが分かった。TCシグナルを媒介するタンパク質の欠損マウスを解析したところ、輪回し行動リズムに重篤な異常が観察され、TCシグナルがマウス個体においても重要であることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
概日時計は人々の日々の生活に大きく関与しており、その破綻は睡眠障害や精神疾患などに関与している。そのため、概日時計の分子メカニズムの理解は、基礎的な生命科学の推進とともに、医学的に重要である。本研究にて見出した新規のTCシグナリングは、概日時計の重要な構成要素であることが分かった。そのため、本研究成果を応用して、人々の健康に資する技術開発にもつながると考えられる。また、TCシグナリングは新規の温度応答シグナリングであり、低温で活性化するという驚きの挙動を示すことが分かった。本発見は、生物の温度応答という極めて重要な事象に対して、分子レベルでの理解を促す知見になると考えている。
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