研究課題/領域番号 |
19K21201
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補助金の研究課題番号 |
18H06078 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
藤井 佐織 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50648045)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 土壌動物 / 分解 / 食物網 / 同位体 / 食性 / トビムシ / 放射性炭素同位体 / 根 / 根滲出物 / 形質アプローチ / 根浸出物 |
研究開始時の研究の概要 |
土壌生物は、物質循環の主たるプロセスである有機物分解を担っている。それにもかかわらず、各分類群の役割は依然定量されずブラックボックスとして扱われたままである。生態系プロセスに対する動物の貢献は摂食活動により果たされるので、食性の検討はまずなされるべきものであるが、手法的困難さゆえに利用している炭素源の理解さえ進んでいない。本研究は、土壌小型節足動物の放射性炭素同位体比測定によって下位栄養段階に属する生物の炭素源を特定することで、土壌食物網全体の生態系機能の推定を可能にすることを目指す。
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研究成果の概要 |
分解における土壌食物網の役割を明らかにするためには、下位栄養段階に属する動物の炭素源を明らかにすることが必要不可欠である。トビムシ各種がリターや腐植に依存しているのか、リターより新しい炭素に依存しているのか区別するために、従来の炭素・窒素安定同位体分析に加えて放射性炭素同位体分析を行った。ほとんどの種は、安定同位体比の値に関わらず、枯死有機物よりも低い14C濃度を示した。また、腐植層に住む土壌性種はδ15Nが高くなるほど新しい炭素への依存度が大きい傾向を示し、菌根菌を接種していることが示唆された。これらにより、トビムシの枯死有機物への依存が小さいことを示す強固な証拠を得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
分解は物質循環を駆動する陸域生態系の主要なプロセスであり、これを担うのは土壌生物である。しかし、土壌食物網の下位栄養段階に属する微小な土壌動物の餌源を正確に評価することが困難なため、多くの土壌動物が分解者として本当に機能しているかどうかは検証が不十分であった。本研究は、トビムシと、それらの捕食者の多くが、枯死物よりも新しい炭素に依存していることを明らかにし、必ずしも分解者とは言い難いことを示した。環境変動による生物の消失を前に、生物多様性とその機能の保全の必要性が指摘されているが、本研究の成果は、生態系に対する生物の機能を十分な根拠なく判断することの危険性も提示している。
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