研究課題/領域番号 |
19K21213
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補助金の研究課題番号 |
18H06091 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤川 理沙子 九州大学, 医学研究院, 助教 (50823209)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | うつ病 / ミクログリア / 炎症 / うつ / 社会的ストレス / 海馬 / 社会的敗北ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
わが国では過労死の増加など、社会的ストレスによるうつ病が社会的問題となっており、学術的支援が必要とされている。抗うつ剤を十分な期間服用しても改善が見られない症例も報告されており、病態の理解や新薬の開発が望まれている。発症仮説のひとつに、脳炎症仮説がある。脳での炎症応答への寄与が大きいミクログリア細胞は、神経と接触することで神経回路や行動を調節している。本研究は、ヒトのストレスに近似しているとされ近年注目されている社会的敗北ストレスモデルマウスを用いてミクログリアの形態学的評価を行い、炎症とうつ病の関係の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、脳で炎症応答を担うとされるミクログリアとうつ病の関係の解明を目指し、以下の成果を得た。①ヒトのストレスに近似しているとされている社会的敗北ストレスモデルマウスを確立し、不安様行動とうつ様行動を確認した。②社会的ストレスにより、海馬CA1領域のミクログリアの空間分布密度が増加し、突起の短縮や分岐の減少などの形態学的変化が生じた。③抗炎症作用が報告されている植物由来エストロゲン類縁体ゲニステインを投与したところ、うつ様行動やミクログリアの変化の一部に改善がみられた。ミクログリアは社会的ストレスによるうつ病治療において重要な標的となる可能性が考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
うつ病の生涯罹患率は3~15%との報告もあり、頻度の高い精神疾患である。うつ病患者の治療において、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込み阻害薬等が第一選択薬として用いられている。それらには一定の治療効果が認められているが、治療が奏功せず、難治化する患者が一定の割合で存在することも報告されており、新たな病態の理解と治療戦略の創出が重要な課題になっている。本研究は、社会的ストレスによる行動変化とともにミクログリアの詳細な形態変化を明らかにし、うつ病の発症や回復におけるミクログリアの重要性について理解を深めるものである。
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