研究課題/領域番号 |
19K21225
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補助金の研究課題番号 |
18H06106 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中村 庸輝 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (60711786)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | HMGB1 / 慢性疼痛 / DAMPs / 脳内疼痛制御機構 / 脳内炎症 / パーキンソン病 / 三叉神経ニューロパチー |
研究開始時の研究の概要 |
がん性疼痛、糖尿病性疼痛、帯状疱疹後痛などの神経障害性疼痛は、既存の鎮痛薬では十分に奏効しない難治性の疼痛である。この治療困難な疼痛症状は患者の行動を制限し、生活の質を低下させる要因となるため、新規治療法・治療薬の開発が望まれている。申請者らは、これまでの先行結果より high mobility group box 1 (HMGB1) が脳内炎症を介して難治性疼痛の発症に関与する可能性を明らかにした。そこで、本研究課題では、① 脳内 HMGB1 による疼痛発症機構の解明、② 脳内を標的とした中枢移行性の高い低分子化合物の同定に基づく鎮痛薬候補の創製を目的とした検討を行う。
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研究成果の概要 |
マウス脳室内へ high mobility group box-1 (HMGB1) を投与することにより、数週間にわたる機械的刺激に対する反応性の増大が観察された。以上の結果は、脳内における HMGB1 が上昇する病態において疼痛が惹起される可能性が示唆された。そこで、疼痛症状が観察されることに加え、脳内 HMGB1 が増加する可能性が推察されるパーキンソン病モデルマウスを確立し、脳内 HMGB1 の機能を抑制した結果、疼痛症状を有意に改善した。さらに、この疼痛抑制効果は、疼痛症状発症期ではなく、疼痛症状維持期において有効であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は、脊髄などと同様に脳内の HMGB1 も疼痛の調節機構に関与する可能性を明らかにした。さらに、これまでに有効な治療法が確立されていなかったパーキンソン病などの神経変性疾患に付随する疼痛症状の根底にあるメカニズムの一旦を HMGB1 が担っている可能性が示唆された。脳内HMGB1 を新規鎮痛薬の創薬ターゲットととするための基礎的知見を提供し、治療法の確立されていない難治性疼痛に対する創薬開発への貢献が期待できる。
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