研究課題/領域番号 |
19K21236
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補助金の研究課題番号 |
18H06118 (2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
田中 晶子 神戸薬科大学, 薬学部, 特任助教 (30824320)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 鼻腔内投与 / 脳内送達 / オキシトシン / 自閉症治療 / 自閉症スペクトラム障害 / 中枢神経系疾患 / 脳内動態 / 生物薬剤学 / 体内動態 |
研究開始時の研究の概要 |
Oxytocin (OXT) はアミノ酸 9 個からなるペプチドホルモンであり、視床下部で合成され脳下垂体後葉から分泌される。中枢神経系では神経伝達物質として機能し、愛情や信頼に基づく良好な人間関係を構築する生物学的基盤として重要であることが明らかとなっており、近年 OXT は ASD に対する治療薬としての期待が高まっている。しかし、ペプチドの脳移行は血液脳関門により厳しく制限されているため OXT を効率よく脳内送達可能な DDS の開発が望まれる。本研究では、脳への直接的な移行経路が確認されている鼻腔に着目し、化学修飾と製剤学的な工夫に基づく OXT の効率的な脳送達システムを構築する。
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研究成果の概要 |
本研究はオキシトシン (OXT) 鼻腔内投与後の脳移行性を向上する新たな DDS 製剤の開発を目的とする。OXT の脂溶性増大による脳移行性の改善を目的として、脂肪酸修飾 OXT を合成した。脂肪酸修飾により OXT の脂溶性は増大したが、溶解性がやや低下した。また、マウス鼻腔内投与後の OXT の脳移行性は改善されなかった。これらの結果より、脳移行性の改善には、OXT の溶解性と膜透過性のバランスの最適化が必要であることが示唆された。一方、OXT の粘膜吸収を促進する製剤添加物としてアニオン性界面活性剤の N-アシルタウリン酸塩を併用したところ、OXT は効率的に脳へ移行することが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、鼻腔内投与後のOXT の脳移行性を改善するための DDS 開発を目的として、化学修飾または製剤添加物の併用による OXT の脳移行性改善を試みた。なかでも N-アシルタウリン酸塩は、鼻腔内投与後の OXT の脳移行性を著しく改善した。これらの知見は、N-アシルタウリン酸塩が OXT などの様々な中分子医薬の脳移行性を改善する可能性を示すものである。したがって、本研究で得られた知見は、ASD 治療法の開発にとどまらず、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患などの脳疾患を対象とした中分子医薬による新規治療法の開発に展開できる可能性が高く、社会的意義が大きいと考えられる。
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