研究課題
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膵癌はこの30年でほとんど予後の改善が見られていない。治療を困難としている要因に薬剤耐性が挙げられ、従来の抗癌剤によるapoptosisに耐性をもつことは治療における大きな障壁となっている。近年発見されたプログラム細胞死のひとつであるnecroptosisはapoptosisのfail-safe機構としての役割もあり、apoptosis耐性克服の一助となる可能性がある。今回我々はapoptosis耐性の膵癌細胞にnecroptosisを誘導し、放出された分子を詳細に解析することでその促進的、抑制的役割を明らかにし、その微小環境改変作用を治療効果の増強に応用することで治療抵抗性の克服を目指す。
本研究はapoptosis耐性の膵癌に対してnecroptosisを誘導することで治療抵抗性を克服する新規治療法を開発することを目的とした。necroptosisを誘導した膵癌細胞由来上清は膵癌細胞の遊走・浸潤能を促進すること、その上清内にはCXCL5が特異的に上昇していること、necroptosis誘導膵癌細胞ではCXCL5受容体CXCR2が高発現していること、その遮断がnecroptosisによって強化された遊走・浸潤能を抑制することを明らかにした。
膵癌の治療を困難としている要因に薬剤耐性が挙げられ、従来の抗癌剤によるapoptosisに耐性をもつことは治療における大きな障壁となっている。近年発見されたプログラム細胞死の一つであるnecroptosisはapoptosisのfail-safe機構としての役割もあり、necroptosisの誘導はapoptosis耐性となった膵癌に対する有効な治療手段と考えられるが、necroptosisには癌細胞遊走・浸潤能を促進する側面も存在していることが明らかにされた。本研究により、今後は、CXCL5-CXCR2軸を遮断しながらnecroptosisを誘導する具体的治療方法の検討につながるものである。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
PLOS ONE
巻: 15 号: 1 ページ: e0228015-e0228015
10.1371/journal.pone.0228015