研究課題
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摂食嚥下関連筋の筋力低下は嚥下障害を引き起こす。嚥下障害の発症リスクを予測するためには,摂食嚥下関連筋の筋力低下に影響する因子も検討する必要がある。これまでの研究で,姿勢とむせの関連など,体幹保持機能と嚥下機能について臨床的に関連があることは報告されている。しかしながら,摂食嚥下関連筋と体幹との直接的な関係を示した報告はない。よって本研究は,要介護高齢者を対象として,摂食嚥下関連筋の筋力と体幹との関連を明らかにすることを目的とする。
本研究では、高齢者の摂食嚥下関連筋と体幹との関連を調査した。その結果、60歳以上健常高齢者において、舌の筋力に最も影響する因子は背筋力で、性別や年齢に有意差を認めなかった。また、咬合支持が減少し背筋力が低下しているものは、より舌の筋力に影響を受けた。さらに要介護高齢者において、摂食嚥下関連筋の筋量と体幹筋指数の相関、食事形態と離床時間の関連性も明らかとなり、長期臥床による全身の廃用が、嚥下機能にも影響を及ぼす可能性が示唆された。本研究結果は、嚥下機能評価においては口腔領域のみならず全身の評価が重要であることを示した。
摂食嚥下関連筋は加齢や疾患、廃用により筋力・筋量が減少するが、全身のどのような部位の筋量や筋力と関連があるのかは不明であった。本研究では、健常高齢者における舌の筋力と体幹の筋力との関連性および咬合状態による影響、要介護高齢者の摂食嚥下関連筋の筋量が体幹筋指数と関連することを明らかとした。これらの結果は、口腔と全身は密接に影響していることを示唆しており、全身評価が摂食嚥下リハビリテーションにおける新たなアプローチとなることで、介護予防を含めた国民の健康増進に寄与できると考える。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件)
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