研究課題/領域番号 |
19K21441
|
補助金の研究課題番号 |
18H06358 (2018)
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2018) |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
池森 亮 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 研究員 (90827255)
|
研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | A群ロタウイルス / ワクチン / ゲノム解析 / 疫学解析 / ロタウイルス / タンパク質立体構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
A群ロタウイルス(RVA)感染症は、乳幼児に重篤な下痢症を引き起こす。日本では、年間25万人の乳幼児がRVA感染症に罹患し、3万人が入院している。2011年以降、希望児を対象にワクチンの任意接種が開始され、2014年のワクチン接種率は60%にまで上昇した。これにより、RVA感染症の患者数はワクチン導入前の40%程度に減少した。しかしその後、患者数は大きく変動せず、依然として多くの患者が毎年発生している。このことから、現在流行しているRVAはワクチンへの耐性を有している可能性が考えられる。そこで本研究では、ワクチン導入後に検出されたRVAを対象に解析を行い、RVAの性質の変化を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
弱毒生ワクチン導入後に流行しているA群ロタウイルス(RVA)が、ワクチン選択圧からの逃避能を有している可能性が示唆されていた。そこで本研究では、ワクチン導入後のRVA感染症の患者の糞便材料を試料として用い、RVA流行株の塩基配列情報を収集、解析し、流行の実態の解明を試みた。その結果、流行は系統学的に単一のRVAにより発生しているものの、流行しているRVAのVP7遺伝子の中和エピトープのドメインに、アミノ酸配列の多様性が確認された。以上の結果より、RVAは抗原性を変化させることによってワクチンによる集団免疫から逃避し、市中で流行を維持している可能性が考えられた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ワクチン導入後のRVA流行株を解析した結果、アミノ酸配列の多様性が、ウイルス粒子の外殻を構成するVP7のエピトープ領域のみならず、内殻を構成するVP6、病原性および感染細胞内での増殖性に寄与するNSP4にも確認された。この成果から、今後、ワクチンの選択圧下で流行株にアミノ酸配列の変異が蓄積することにより、様々な抗原性状および病原性のRVAが流行する可能性が示された。以上より、新規ワクチン開発の計画に必要な、現在流行しているRVAの遺伝学的情報の収集に貢献した。
|